暁 〜小説投稿サイト〜
Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
20.July・Night:『The Jabberwock』
[21/22]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 嘘か誠かは兎も角、嚆矢程度では逆立ちしたところで雲の上の実力者。その機嫌を損ねれば、どうなるか等……想像に難くない。

「ところでぇ……宿木ぃ。あんた、なんで――――標的を三匹とも、生かしておいたのかにゃあ?」

 見下ろした先、まだ痙攣するスーツ姿の男達。それを見ながらの問いに、嚆矢だけでなく回りの三人までもが凍りついたように。

「……だ、大丈夫だよ、やどき。そんなやどきを、わたしは応援してる」
『あ、ありがとニャア……滝壺ちゃん』

 ピンクのジャージのおかっぱ少女滝壺 理后(たきつぼ りごう)の絞り出すような声に、辛うじて返答した。
 当たり前だ、その女は五人の中で最強の能力者。他の四人を、『軍隊で戦術的価値を見いだす事が出来る』大能力者(レベル4)四人を、たった一人で圧倒して余りある――――『たった一人で軍隊を相手取る事が出来る』超能力者(レベル5)なのだから。

『そりゃあ、生かしとかニャいと情報が手に入らないニャア。こいつらはどう考えても末端、蜥蜴の尻尾ナ〜ゴ』

 それにすら、ニヤケ顔。元々、そんな覆面なのだから。
 ……本当に? 先程からずっと、此方を見詰める小躯――――オレンジのフードの小学生(?)絹旗 最愛(きぬはた さいあい)の視線を受けながら。

『最初はリーダーだけのつもりだったニャア、けど、こいつら没個性の集合体ナ〜ゴ。どれがリーダーだか、在り来たりすぎて分からなかったニャア。つまり――――』

 へらへらと、ころころと。最近流行りの物語に喧嘩を売るように。

「――――全部、闇の底がお似合いだ。この世の中(リンボ)が金や名声、持ちうる技能の強弱程度で、へらへらと。決定事項のように語れる程度の事しかないと思っている、甘ったれには……な」

 『黒豹』の声で、転がる三匹を見下す。何の感情を籠める事もなく。この世界に、倦みきった視線で。

「……はぁい、合格。いやね、漸く見所がある新人が来たわねぇ」

 それに、沈利は流し目を送る。漸く、興味を引かれたように。
 果たして、猛獣どころか。その威圧たるや、遥かな古代に慈悲深くも死に絶えた、恐竜が今も健在ならばと思しき瞳。

「フレンダぁ、アンタ、宿木の教育やりなさい」
「りょ、了解――――って、えぇ〜〜〜っ! 何で私……が…………はい、やります。やらせていただきます」
「まぁ、あれね。アンタも、こいつから『暗部的な考え方』を学びなさいな」

 と、フレンダ……金髪碧眼の少女フレンダ=セイヴェルンが無条件で頷き――――瞬時に慌てる。
 言い返しはしたが、ほぼ同時に見詰め返された時点で反論は消えた。滝汗と共に。

「さぁってぇ……それじゃあ、後は他のに任せて撤収ね。あ、因みに宿木……アンタ、今回
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ