第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
20.July・Night:『The Jabberwock』
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嘘か誠かは兎も角、嚆矢程度では逆立ちしたところで雲の上の実力者。その機嫌を損ねれば、どうなるか等……想像に難くない。
「ところでぇ……宿木ぃ。あんた、なんで――――標的を三匹とも、生かしておいたのかにゃあ?」
見下ろした先、まだ痙攣するスーツ姿の男達。それを見ながらの問いに、嚆矢だけでなく回りの三人までもが凍りついたように。
「……だ、大丈夫だよ、やどき。そんなやどきを、わたしは応援してる」
『あ、ありがとニャア……滝壺ちゃん』
ピンクのジャージのおかっぱ少女滝壺 理后の絞り出すような声に、辛うじて返答した。
当たり前だ、その女は五人の中で最強の能力者。他の四人を、『軍隊で戦術的価値を見いだす事が出来る』大能力者四人を、たった一人で圧倒して余りある――――『たった一人で軍隊を相手取る事が出来る』超能力者なのだから。
『そりゃあ、生かしとかニャいと情報が手に入らないニャア。こいつらはどう考えても末端、蜥蜴の尻尾ナ〜ゴ』
それにすら、ニヤケ顔。元々、そんな覆面なのだから。
……本当に? 先程からずっと、此方を見詰める小躯――――オレンジのフードの小学生(?)絹旗 最愛の視線を受けながら。
『最初はリーダーだけのつもりだったニャア、けど、こいつら没個性の集合体ナ〜ゴ。どれがリーダーだか、在り来たりすぎて分からなかったニャア。つまり――――』
へらへらと、ころころと。最近流行りの物語に喧嘩を売るように。
「――――全部、闇の底がお似合いだ。この世の中が金や名声、持ちうる技能の強弱程度で、へらへらと。決定事項のように語れる程度の事しかないと思っている、甘ったれには……な」
『黒豹』の声で、転がる三匹を見下す。何の感情を籠める事もなく。この世界に、倦みきった視線で。
「……はぁい、合格。いやね、漸く見所がある新人が来たわねぇ」
それに、沈利は流し目を送る。漸く、興味を引かれたように。
果たして、猛獣どころか。その威圧たるや、遥かな古代に慈悲深くも死に絶えた、恐竜が今も健在ならばと思しき瞳。
「フレンダぁ、アンタ、宿木の教育やりなさい」
「りょ、了解――――って、えぇ〜〜〜っ! 何で私……が…………はい、やります。やらせていただきます」
「まぁ、あれね。アンタも、こいつから『暗部的な考え方』を学びなさいな」
と、フレンダ……金髪碧眼の少女フレンダ=セイヴェルンが無条件で頷き――――瞬時に慌てる。
言い返しはしたが、ほぼ同時に見詰め返された時点で反論は消えた。滝汗と共に。
「さぁってぇ……それじゃあ、後は他のに任せて撤収ね。あ、因みに宿木……アンタ、今回
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