第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
20.July・Night:『The Jabberwock』
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までの薄気味悪い合成音声を切って、地声を向ける。倦怠と失望、怒りと嘲りの入り交じる、芭李呑の声色を。
「もう、俺は興味がない。死に逝くお前らになんぞ、僅かにも。憐憫の情すらも湧かない。何故だか解るか――――?」
「知るか、狂人め――――学園都市の改造人間め! 人外の怪物共め!」
「如何にも。俺は『正体不明の怪物』だとも」
冷めきった氷点以下の問いにも、恐慌を来した彼には届かない。この期に及んでジュラルミンケースを後生大事に抱え、ナイフを振りかざし――――悪態を吐きながら、突進してきた。
「ハッ、思考すら放棄したか……莫迦め。あぁ、莫迦め! 救い難い莫迦めが!」
それを、最早、目で見る事もなく。帽子の鍔で顔の見えなくなった黒豹は、左手で黒いネクタイと紅いワイシャツの首元を寛げて。
「――――ヒギッ!?」
男の四肢を『見えない掌』で拘束する――――いや、ヘシ折った。それは、遠隔操作で飛翔する……防弾硝子の、幾つもの『刃』で構成された擬似的な掌。
抵抗する事など、もう出来ない。後は、黒豹の為すがままだ。
「さぁ――――仲間が待ってるぞ」
「まっ……待て、分かった! 儲けは山分け……いや、お前に七割やる、だから助け――――!」
もう数センチの距離にある、今まさに顔を上げた――――
「救えぬ莫迦め――――――――死ね!」
嘲り笑う、燃え盛るような三つの眼を滾らせた漆黒の獣の――――沸き立つ禍々しい奇怪にも機械に似る、確固たる密集した鎧にも群を為した剣にも、唯一生まれ持った拳にも見える追加された複合装甲を纏う、右腕の鉤爪の拳にて鳩尾を撃ち抜いた――――…………
………………
…………
……
倒れ伏した三人の男を見下ろし、女は満足そうに笑う。
「へぇ、中々使える能力じゃないか。『正体不明』……だっけ? 見たところ、『物質の再構築』ってところか」
実地試験の成功に、麦野沈利は満足そうに。そして、微かな不満に、嚆矢へと笑い掛けた。
『惜しいけど、違うニャア。我が能力は『正体不明』。理解しようとした時点でもう、理解できないナ〜ゴ』
「あっははは……いやぁ、面白い。いいにゃあ、アンタ。本気で気に入ったよ、や〜ど〜き〜ぃ!」
戯けて、くるくる喋る性悪猫。普通ならば、馬鹿にしているのかと憤慨されるだろう一言。だが、沈利はけらけらと、満足そうに笑う。だが、不満そうに彼を見詰める。
つい、と。額から汗が流れる感触。噂には聞いている、『第四位・原子崩しは、戦闘能力だけならば第三位・超電磁砲を凌駕している』と
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