九校戦編
Episode27:ルアー
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リナのことを包み隠さずに説明すると、不承不承納得してくれて、しばらく家で預かることにも頷いてくれた。意外と、姉さんは物分りがいいのだ。
…それを言うと顔を赤くして殴られるから言わないけど。
(そういえば、今日は九校戦メンバーの正式発表だったっけ?)
ふと思い出して、懐の端末に手を伸ばす。市原先輩から送られてきたメールの内容を見ると、確かに今日の五時限目は九校戦メンバーの正式発表となる発足会となっていた。それに伴って、選手である俺は少し早めに会場である講堂へ行かなければならないみたいだ。
(めんどくさ…いやいや、これは選ばれなかった人にとっては失礼になるよね……選ばれたからには、頑張らないと)
気合いを入れ直すために、ぐっと拳を握る。俺にとっては不利な戦いになるだろうけど、やれるだけやってやる。
そう、前向きに考えてみると、少しだけ楽しみになった気がした。
☆★☆★
時間は進んで、四時限目終了から少し。軽めの昼食を済ませてから、俺は鋼より一足先に講堂へ足を踏み入れた。
「な、なんだか緊張しちゃうね」
「…ほのかはしすぎ」
「俺もそうでもないかな?」
なにやら緊張した面持ちのほのかと、雫と一緒にだ。今回は一人じゃない。
「隼人さんはともかく、雫はよく緊張しないよね」
「私も少しは緊張してる。ほのかがしすぎなだけ」
「ていうか俺はともかくってどういう意味?」
二人が言うに、こういうことに慣れてそうだと。
まったく経験がないのだけれど。まあ、弁明することでもないからいいか。
「そういえば、達也さんが技術スタッフとして選ばれたらしい。よかったね、ほのか」
「しっ、雫!? 隼人さんの前でそういうことは言わないで!」
「へぇ、流石は達也だね」
とか言いつつ、大体は予想してたんだけどね。だって達也はトーラス・シルバーなんだし。
というか、なぜ達也の代表入りを聞いてほのかが慌てるのだろうか。そして何故俺には言っちゃいけないのだろうか。
……もしかして、これが俗に言うハブられているということなのだろうか。
「大丈夫、隼人は鈍感だから気づかない」
「いや、なんで今の一連の流れで俺が鈍感だってわかるの? というか雫さん痛いです」
無表情で、そしてなぜか棘のある声で、更に俺の足をゲシゲシと踏みつけながら言う雫。
そんな雫に同情の眼差しを向けるほのか。
なにこれ、俺が悪いの?
「あ、そういえば雫って俺のこと呼び捨てに変えたんだねー」
「…ダメだった?」
「いやいや! なんか二人の距離が縮まったみたいで嬉しいよぉぅふ!?」
「き、綺麗な回し蹴りだったね、雫…」
「…鈍感と無自覚は罪だよ
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