九校戦編
Episode27:ルアー
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かだ。
(エリナの名字は九十田…俺の知る限りで、百家に九十田なんて家はなかった。だとすると…)
数字落ちと呼称される家が日本には存在している。
数字落ち、とは『百家になれなかった者たち』のことを指す。
かつて、魔法師が兵器であり実験サンプルだった頃、『成功例』としてナンバーを与えられた魔法師が『成功例』に相応しい成果を発揮できなかったために押された烙印。
現在の日本の、『数字』の魔法師区分の『闇』だ。
(けど、九十田には『九十』って数字がついているしなぁ…)
例外なく、数字落ちとなった家はその姓に数字を残しておくことを許されていない。もしエリナが数字落ちだとしたら、九十という数字は本来捨てられてなくてはならないのだ。
(まぁ、いいか。まだそれほど重要なこととは思えないし、もし今のことが本当だとしたら、無闇に聞くのは最低だからね)
溜息をついて、ふと気づく。
「俺、どこで寝ようか?」
部屋に唯一あるベッドはエリナを寝かせているため使用不可。一応、エリナも隼人も小柄なためになんとか二人で寝れそうだが、それは隼人の立場的にマズいためそもそも選択肢には入っていなかった。
基本、隼人の部屋には必要最低限の家具しか置いていない。
ベッド、デスク、PC、TV、クローゼット、本棚、CADの保管庫。
以前訪れたことのあるエイミィに、つまらないと言われて苦笑いを浮かべるしかなかったのを思い出して、隼人は思わず光の届かない部屋を見回した。
(…趣味とか、ないんだよなぁ)
そういえば、エイミィがなんかベッドの下を覗いていたのだが、あれにはなんの意味があるのだろう…と考えて、なんとなく自分でも覗いてみる。
「…なにもないよねぇ」
不思議そうに呟いて、体を起こした隼人は再び溜息をついた。
「リビングで寝ればいいか」
音を立てずに立ち上がり、エリナの頭を一撫でした隼人は扉に手をかけた。
「おやすみ、エリナ」
パタン、と扉が閉まって、部屋には静寂が訪れる。
月明かりしかない暗い部屋の中。
「…いかないで……」
眠り、意識のない彼女の口から、小さな呟きが漏れた。
閉じられた瞳から流れ出した涙は、しばらく止まることはなかった。
☆★☆★
「…はぁ」
痛みを訴えてくる腰を叩きながら、駅から学校への道を一人で歩く。
近所に友人がいない俺は、基本的にいつも一人での登校だ。断じて、友達がいないわけではない。
結局、昨日エリナにベッドを貸した俺はリビングのソファの上で寝たのだが、それが元で腰を痛めてしまった。
「でもまあ、姉さんが納得してくれてよかった」
珍しく朝早くに起きてきた姉さんにエ
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