九校戦編
Episode27:ルアー
[5/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いことだとは分かっているが、溜息をついてしまうのは仕方ないことだった。
(そういえば、エリナはどうしたんだろう?あれから全然連絡がないけど…)
頭の上で泡立ったシャンプーをシャワーで洗い流しながら、最近になって隼人の間者となったまだ幼い少女のことを思う。
(エリナなら大丈夫だと思って、大亜連合の情報の収集を頼んだけど…)
まさか、と一抹の不安が隼人の頭を過る。後悔の念に打ちのめされそうになるが、それは全くもって杞憂に終わることとなった。
「呼ばれて飛び出てササッと参上っ!!」
「へっ!?」
突如、浴室に響いた少女の声。それと同時に上から落ちてきたなにかが着地する音。
思わずその場を飛び退いて戦闘態勢を取ってしまった隼人に、風呂場に乱入してきた少女、九十田エリナは太陽のような笑みを浮かべた。
「こんにちは先輩!お背中流しにきました!」
神業のような速さで腰にタオルを巻いた隼人(とても手慣れていた)に対し、空から降ってきたエリナはなぜかピッチリと肌にくっつく水着…所謂スクール水着というものを着用していた。
「なっ…なっ、なっ」
羞恥と困惑でなにも言えなくなってしまう隼人。普通ならば女の子を赤面させることが多い彼だが、エリナの場合はそれが逆になるようだった。
「取り敢えず座ってください先輩。この私が、先輩の体の隅々を懇切丁寧に洗ってあげますから!」
「いや、ちょっと待ってエリナ!その格好はなに!?なんで上から降ってきたの!?そして手をワキワキさせながら近づかないで!そして足元滑るから気をつけて!」
目からハイライトが消え、荒く息をつくエリナから本能的な恐怖を感じて隼人はこの狭い浴室の中でエリナから目一杯距離をとろうとした。
だが、こういったことにあまり耐性がないせいか、顔を真っ赤に染めて涙目になっている隼人の姿は、エリナの欲望の炎にガソリンを投下してから更にダイナマイトを投げつけたようなものだった。
「えへへ、先輩の体…うへへへへ」
「エリナが変態になったぁ!? ってちょっと待って、エリナ足もと…」
「へっ…!?」
(ほら、言わんこっちゃない!)
隼人しか見ていなかったせいか、足元に転がっている石鹸を思い切り踏んでしまったエリナは見事に滑った。
前につんのめるように倒れるエリナに、言葉を発するより早く隼人は彼女と地面の隙間に自分の体を滑り込ませる。
背中に硬い感触を受けるのと、胸に柔らかい感触がのしかかってくるのは同時だった。
☆★☆★
痛みが来ず、逆に暖かなものに触れている感触を覚えて、私は閉じていた目を開いた。
立ち込める湯気の中で目を凝らすと、どうやら私は先輩の体の上に倒れ込んでいるようだった。恐らく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ