第八話
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
げな宮間の姿が。
「その女はなんですか! ひどいですっ、わたしというものがありながら!」
「俺が誰と親しげでも君とは関係ない」
「それが妻に言うことですか!? 浮気者は嫌いです!」
「嫌って結構。むしろ嫌ってくれ。それと何度も言うようだが君を妻に迎えた覚えはない」
「なんでそんなこと言うんですか! ひどいです! それにまだそんな物をつけてるんですか! いい加減、顔を見せてくださいよ!」
ああ言えばこう言う……。回線が捻じ曲がってるのか、俺の言葉は通じていないようだ。
本当に疲れる……。
「……わかった。そんなに見たいというなら見せてやろう」
「本当ですか!?」
「式森様……?」
喜色の笑みを浮かべる宮間と怪訝な顔のリーラ。
リーラには黙っているように目配せをすると、一つ頷いて引き下がってくれた。
察しがよくて助かる。
「じゃあ後ろを向いていてくれるかな? ちょっと恥ずかしいんだ」
「もうっ、しょうがない和樹さんですね♪」
機嫌がいいのか素直に後ろを向く宮間。間髪いれず、彼女の首筋に手刀を入れた。
崩れ落ちる宮間を冷めた目で見下ろす。
――後で出荷しないと。
「……個性的な方ですね」
「だろう……? 個性的過ぎて困るくらいだ」
宮間がどんな女か少しだけ理解してくれた様子だった。
「ところで式森様……先ほどのお話ですが」
「ん?」
見れば、リーラは怖いくらい真剣な顔で俺を見返してきた。
他のメイドさんたちも同じく真剣な顔で俺たちを見守っている。
「式森様は、我々の次期主となって下さると……」
「――ああ。なるよ」
俺の顔になにを見出したのか、小さく息を呑むリーラを見つめ、大きく頷く。
「なる。リーラたちの主に」
それが、俺の行き着いた答え。
「リーラたちとともに生きるって決めたんだ」
それが、俺のたどり着いた望み。
「これが、俺の決意だ」
みんなをぐるっと見渡して、俺はそう微笑んだ。
――さあ、もう寝よう。
――明日は大切な日なんだから。
――一生に残る、大切な……。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ