第八話
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れでも元メイドだけあってその戦闘力は他の団員を遥かに凌駕する。
元同僚たちとともに切磋琢磨して磨き上げた技術が今の彼女たちを活かし、互いの背中を守り主人に使えてきた元仲間に牙を向く。
その胸中には複雑な思いがあったが、迷いが表に出ることはなかった。
銃口はしっかりとメイドたちへ狙いすませている。
「このっ……勝手に撮るな!」
「きゃぁ、ちょっと今パンツ撮った奴誰よ!」
メイドたちは身を捩りって、その禍々しい光沢を放つレンズから逃れようとする。
「くっ、これは厄介だな……!」
リーラが思わず悪態をついた。
カメラ小僧が焚かすフラッシュが目くらましとなり、一瞬の隙をピンクパジャマ中隊がつく。
しかも彼らの生理的に気持ち悪い声と目線も、メイドたちを精神的に追い詰めていた。
「後退だ!」
決断は一瞬だった。リーラが手を振るうと速やかに後退を始める。
――しかし何故、奴らは誓約日のことを知っている?
考えられるのは内部の裏切り。それか、捕虜による情報提供。
――どちらも考えたくないものだな……。
なんにせよ、今は後退して陣を作り直さなければならない。
隊列を作り後退射撃を行いながら、陣を引いていると。
不意に耳鳴りが襲った。
キーン、と風切り音が聞こえてくる。
最初にその存在に気がついたのは、部下のネリーだった。
「リーラ様、あれを!」
上空を見上げる。
青い空に黒点が一つ浮いていた。
それは次第に大きくなり、やがて――。
――ドォォォォォンッッ!!
轟音を響かせて水銀旅団とメイドたちの丁度ど真ん中に着地したソレを見て、整った眉を顰めるリーラ。
「……日本人の女の子?」
よくよく見れば、その少女が着ている制服は彼女たちが次期主人と崇める式森和樹が通う学園の制服だった。
なぜこんなところに? いや、そもそもどうやって此処に着た? なぜ空から?
疑問が尽きないリーラだったが、唐突に振り返った少女と視線が合った刹那――反射的に地面を蹴った。
少女から殺気を感じたからだ。
数多の戦場を経験した歴戦の猛者に匹敵するほどの殺気を双眸に込めた少女はサラマンダーを召還した。
「貴女から和樹さんの匂いがします! さては貴女が和樹さんを攫ったんですね! 許しませんっ」
少女の指示によって放たれた炎の精霊がリーラに襲い掛かる。一瞬早く飛び退っていたため
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