第七十七話 迫るバレンタインその十
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「私もお父さんと弟にあげないとね」
「そういえば琴乃ちゃんは弟さんなんだよな」
「そう、兄弟はね」
「あたし達全員兄貴だけれどな」
それでもだと言う美優だった、これは里香と景子、それに彩夏もだ。
「里香ちゃんはすぐ上にお姉ちゃんもいるけれどな」
「そうなの、一番上がお兄ちゃんでね」
「四人共兄貴持ちだよな」
「兄弟はね」
里香は美優のその言葉に応えて言った。
「そうなってるわね」
「うちの兄貴酒飲みながらチョコ食うんだよな」
美優はこのこともここで言った。
「これがな」
「それはワインとかよね」
「ラムとかな」
そういう酒を飲みながらチョコレートを食べるというのだ、美優は四人と共に帰り道を歩きつつそうしたことも話した。
「そういう洋酒飲みながらな」
「そうしてなの」
「ああ、チョコ食うんだよ」
「それ日本酒だと絶対に出来ないわよね」
「普通はないよな」
「ええ、日本酒はね」
日本酒はその味故に甘いものとは合わない、だから日本では酒好きは辛いものが好きだというのが普通だったのだ。
「お塩とかお醤油の味よね」
「甘いものはな」
「ないわよね」
「けれど洋酒は違うからな」
「ワインとかはね」
「ブランデーでもな」
こちらの酒もだと言う美優だった。
「アイスとかと一緒に飲むとな」
「いけるわよね」
「洋酒は甘いものでもいいんだよな」
「ワインとケーキの組み合わせもね」
こちらもだと言う里香だった。
「いいのよね」
「その組み合わせもいいよな」
「ワインは赤でね」
「それも甘いワインな」
「渋くてもいいのよね」
「うちの兄貴洋酒も好きだからさ」
それでだ、洋酒系を飲む時にというのだ。
「チョコもそうして食うんだよ」
「じゃあバレンタインの時も」
「多分な」
そうするだろうと答えた美優だった。
「まあ別にな」
「それでもいいのね」
「そういうのはどうでもいいさ」
特に、という返事だった。
「あたしにしても」
「ううん、何かそういうお話聞いてたら」
彩夏は腕を組みつつだ、二人の話を聞いてから述べた。
「バレンタインも飲みたくなったわね」
「実際兄貴バレンタイン飲むしな」
そのチョコレートで、というのだ。
「その日もだよな」
「そうよね、じゃあ私達の分のチョコレートも作って」
「洋酒買ってな」
「ワインかラムね」
そうしたものを買ってというのだ。
「飲むのもいいわね」
「そうだよな、しかしあたし達高校入ってから何かっていうと飲んでるな」
「そうよね、本当にね」
「春も夏も秋もで」
「冬もだからね」
「本当に飲んだくれてるな」
この一年を振り返ってだ、美優は苦笑いになりながらもしみじみとして語ったのだった。
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