第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第四章
「しかしこの国に軍隊はないと聞いたので」
「それで来たのですが」
「警察がありましたか」
「我々は警官です」
水兵はこのことも確かに話した。
「それに他なりません」
「兵隊さんではなくですね」
「警官ですか」
「そうなのですか」
「そうです。公務員です」
「ううむ、軍人も公務員ですが」
「それでも」
違和感はだ。どうしても拭えなかった。
「何か。どうしても」
「そうだよな。ちょっと」
「納得しろと言われても」
「まあそれが我が国です」
水兵はどうしても頭の中では納得できない彼等にまた告げた。
「そういうことですから」
「そうなのですか」
「軍隊はなくとも国は守る」
「そういうことですか」
「はい、そうです」
まさにその通りだというのであった。
「そしてそれは我が国では警察が担当しています」
「国の治安維持と含めて」
「成程」
「そういうことなのですか」
「はい、お陰で我が国は平和です」
水兵は今度は平和を口にした。
「守りがしっかりしていますから」
「守りがですか」
「それが」
「確かな備えがあって」
そのまま軍備になる話だった。それはだ。
「おまけにいざという時にはです」8
「何かありますか?」
「その場合は」
「国民が全て銃を持ちますし」
話がかなり物騒なものになった。
「敵が来たその時はです」
「国民が全てですか」
「銃をですか」
「実は我が国は男女共必ず一度は警察に入隊することになっています」
彼等はそれを聞いてだ。すぐにわかった。それはどういうことかだ。
「つまり。兵役だよな」
「そうだよな」
「それだよな」
すぐにそれだとわかったのである。
「徴兵制敷いていたのか」
「道理でここまで軍隊がしっかりしているよ」
「本当にな」
警察と聞いてもだ。もう軍隊にしか思えなかった。
そしてだ。水兵はさらに話すのだった。
「私もです」
「貴方もとは」
「まさか」
「はい、義務で警察に入っています」
そうだというのである。
「海上警察を選んで。三年目です」
「三年目ですか」
「それだけ経っているのですか」
「どの警察も入隊は三年で。これで終わりです」
屈託のない顔で話すのだった。
「そして三年目が終わればです。大学に入ります」
「大学にですか」
「そういう年齢なのですね」
「そうです。ただそれからも定期的に訓練があります」
それもあるのだという。話はさらに軍事的なものになる。
「死ぬまであります」
「エルサレム共和国みたいだよな」
「そうだよな」
「それじゃあな」
彼等が脳裏に浮かべた国はその国だった。周りが敵国ばかりで何かあれば戦争をしている国だ。その国をなのである。
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ