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平和主義
第四章
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「そうか、それでか」
「そこまで武装をしているから」
「それでやっていけてるのか」
「周りが大国ばかりでも」
「金融もやってますし経済活動にも力を入れてますがね」
 水兵の今の言葉にもこの国の国防政策があった。
「周りの国々にお金を貸して。経済協力もしていますし」
「それで弱みとか握ってるんだな」
「攻められないように」
「経済とか金融でもか」
「そして自分達で政治を行い」
 今度はそれだった。
「しっかりとしてますから」
「移民は受け入れないか」
「純潔主義か」
「観光客はともかく」
「我が国はしっかりとしていますよ」
 水兵は胸を張って語った。
「これからもそうしていきます」
「ううむ、何か軍隊がなくてもな」
「そうだよな」
「それでもだよな」
「守ってるんだな」
 彼等は口々に話していく。
「何か平和主義と一口に言ってもな」
「ただ平和は手に入らない」
「そういうことか」
 そしてあらためてわかったのだった。このことがだ。
 そのうえでだ。水兵に対して話した。
「貴国は軍隊がなくても万全ですね」
「警察がいて経済も金融もしっかりしているから」
「それでなのですね」
「はい、我々は平和を守ります」
 守るというのであった。
「例え何があっても」
「わかりました」
「そういうことですね」
 彼等も水兵のその言葉に頷いた。
「我々もまた。そうしていくことにします」
「我々のこの手で」
「そうですよね。平和は言うだけで手に入るものではないですから」
 水兵はまたこうしたことを言った。
「守るものですから」
「ええ、本当に」
「よくわかりました」
 皆水兵との話で心からわかったのである。今彼等はわかった。軍隊がなくともそれに代わる組織がある場合もある。そして平和とはだ。願って手に入れるものではなく手に入れてから守るものである。そのことがだ。


平和主義   完


                2010・8・5

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