番外12話『約束の時』
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つクロコダイル。
空中にいるハント。そしてハントは非能力者で、当然空中では身動きをとれない。
――計算!? どっからだ!
内心で毒づく一方、さすがにこれはまずいと判断したハントは反射的に身構えて、放った。
「魚人空手陸式、数珠掛若葉瓦正拳!」
「砂漠の金剛――」
結果、クロコダイルの技よりも一瞬早くにハントの技が放たれた。
「――宝刀」
クロコダイルが砂漠を割るほどの刃を4枚一斉に放ったと同時、全力の若葉瓦正拳がクロコダイルの体内を爆発させた。
「ぐ……がっ!?」
いきなりの衝撃に、さすがにこれを予期していなかったクロコダイルが吐血。一方、ハントを真っ二つにするはずだった4枚の刃は、おそらくは技を放つときに若葉瓦正拳が爆発したことで狙いがそれたのだろう。ハントを外れてそのまま上空に昇り霧散した。
――……今のは本気で危なかったな。
何事もなく着地できたハントが、ホッと息をついて、砂漠へと倒れこんだクロコダイルを見据えたまま、何が起こっても対応できる距離で、また身構える。
常人なら、いや大抵の屈強な男ですらも死んでしまうほどの威力が込められたハントの技だったが、クロコダイルを仕留めるにはやはり足りない。それをわかっているハントが未だに倒れこんでいるクロコダイルへと追撃を仕掛けないのは、そうやって倒れている姿すらも罠だと看破しているから。
ダメージ自体は軽くはないが、動けなくなるほどのダメージを与えることができていないのは誰よりも当の本人が感じているからだ。
「小芝居は無駄だからな、言っとくけど」
「……」
ハントの言葉で、クロコダイルが立ち上がった。クロコダイルもこんな小芝居でハントをどうこうできるとは思っていなかったのだろう。だますことに失敗したというのに、むしろそれが当然だろうといわんばかりの表情をしている。
「……てめぇに一つ聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
お互いに戦闘態勢を解かないまま、クロコダイルが言葉を発した。
「さっきから魚人空手を使ってるようだが……魚人にはみえねぇな」
――どういうことだ?
言外の質問。
別に隠すことでもないし、ハントからすれば誇りにすら思っていることだ。だからハントは微笑を浮かべて、そして何よりも自慢げに答えた。
「俺の師匠はお前も聞いたことがある男だ……と思うけど」
「師匠? ……俺が知っている?」
ハントは覇気使いで、魚人空手家で、師匠はクロコダイル自身がその名を聞いたことのあるほどの男。
それだけのヒントを与えられてクロコダイルが何の人物も思い当らないはずがなく、そしてそれは決して複数人も思い当るような人物ではない。
「……『海侠』か」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ