訓練と罠
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らブラッティ・ギルティを抜き放つと構える。すると、クラディールはこちらを見る。
「おっと……お前だけ水飲まなかったのか……これは失策だったな……」
その口調に悪寒を感じ、一歩下がる。クラディールは大剣を抜き放つと、ゴドフリーが持つ結晶を蹴り飛ばし、更にポーチの結晶を奪った。
「失敗したぜぇ………まぁ、殺す順序が変わっただけか……」
(こいつ……狂ってやがる!!)
そう思った俺はクラディールに接近する。
「おいおい……わざわざ殺されに来たか………んじゃあ死ねよ」
クラディールは俺にアバランシュを放つ。当然、モーションを見てない俺が避けられる訳無くまともに一撃を喰らう。そのまま壁にぶつかり、ズルズルと地面に落ちた。
「よぇぇなぁ<滅殺者>ァ。折角アンタを殺すために入ったのによぉ……」
「何……っ?」
クラディールが突然左のガントレットを除装した。純白のインナーの袖を捲り、露わになった前腕の内側を俺に向ける。俺はそれを見て驚愕した。
「そのエンブレム……<笑う棺桶>か……!!」
<ラフィン・コフィン>、俺の空白の一年間に所属していた殺人ギルドの名だ。つまり奴は、俺と同類……と言うことだろう。
「そう言う事だ。この麻痺テクもそん時教わったんだが……アンタは引っ掛からなかったしな」
クラディールが一歩ずつ俺に近付いてくる。それに対して、俺は逃げられなかった。
「さぁて……アンタには死んでもらわねぇとなぁ……アンタは俺にとっての最大の汚点だからなぁ!!」
と、俺に大剣を突き立てる。俺に大剣が突き刺さるたび、HPが確実な勢いで減っていく。
「どうよ……どうなんだよ……。もうすぐ死ぬってどんな感じだよ……。教えてくれよ……なぁ……」
クラディールが囁く声で言いながらじっと俺の顔を見る。
「何とか言えよガキィ……死にたくねぇって泣いてみろよぉ……」
俺はその時、こう思っていた。死にたいと。
現実では、家との関係が嫌だった。ああしろこうしろと親が煩かった。そんな俺が心休まる場がVRMMOとミザールだった。だが、それでも家に縛られている感覚は消えなかった。ならば死ねば楽になると思った。しかし、ミザールは悲しむだろう。そんな考えに辿り着いた俺は、手に持つ剣を奴に放っていた。
「何っ!?」
クラディールは俺の放った剣を避けるが、一瞬大剣を手放す。その隙を付き、体から大剣を抜き出し、クラディールに投げる。
「お……お……?何だよ、やっぱり死ぬのは怖ぇってかぁ?」
「違う。俺は、大事な人が悲しむのが嫌なだけだ」
「そうかよ。なら、死ねェェェ!!」
クラディールは大剣を振り被り、俺に止めを刺そうとする。俺は腰に手をやるが、双剣を装備していないことに気付いた。
(やはり……俺は死ぬ定めなのか……?)
俺は目を閉じ、その時を待つ。だが、
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