第三章
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第三章
「何で水兵までいるんだ」
「これだけ軍艦があって」
「どういう場所なんだ」
「ああ、ここですか」
いぶかしむ彼等にだ。その水兵の一人が声をかけてきた背が高く立派な身体をしている。その彼が来たのである。
「ここは海上警察の港です」
「海上警察!?」
「何ですかそれは」
「我がコスモポリタン共和国では警察は三つあります」
水兵はいぶかしむ彼等に説明してきた。
「この海上警察に航空警察」
「航空警察」
「そういうものもあるんですか」
「それに陸上警察です」
この名前の組織も離された。
「合わせて三つの警察があって警察省の管轄になっています」
「警察省」
「そうした官庁があるんですか、この国には」
「我が国の治安と守りを担当しています」
水兵はこうも話した。
「そうした場所です」
「えっ、それだと」
「まるで」
「軍隊じゃないですか」
「しかも」
ここでだ。彼等はあらためて水兵の左手を見た。やはりそこには階級章があった。そこには三本線のラインが描かれていた。
「それは階級章ですよね」
「そうですよね」
「それは」
「はい、そうです」
水兵はあっさりとした調子で言葉を返した。
「その通りです」
「警察に階級がある」
「それは私達の国でも同じですが」
「しかしそれは」
「私は士長です」
こう話すのだった。
「士、曹、尉官、佐官、そして将官がありまして」
「そのまま軍隊の階級では?」
「違いますか?それって」
「そうではないのですか?」
「そうですかね」
水兵はここでもあっさりと返した。
「まあ似ているかも知れませんね」
「いえ、そうではないでしょう」
「そのままです」
「そうではないのですか?」
「まあ国防を担当していることは間違いありませんね」
水兵の口調は変わらない。
「それが我が国では警察の仕事です」
「軍隊はなくとも」
「そうしたものはある」
「何か違うのでは」
「おかしいですか?」
今度は水兵の方がいぶかしむ顔になった。
「それは」
「おかしいというよりは」
「やっぱり軍隊ですよね」
「それじゃあ」
「ですから軍隊ではありません」
水兵はそのことはあくまで否定した。頑とした口調でさえある。
「それは事実です」
「しかしこれではです」
「軍隊にしか思えません」
「そうとしか」
「しかし国は守らないといけないですよね」
水兵が返してきた言葉は正論だった。
「そうですよね」
「それはそうですが」
「事実そうです」
「その通りです」
これは彼等もとてもわかっていることだった。わかっていない筈がなかった。国防の必然性をわかっていない者は全くの無知か何らかの意図でわかっていないふりをしている
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