志乃「グレートオレンジスクランブル versionAK 最終決戦仕様で」
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これから大音量が部屋に充満するってのに、こいつどんだけ音量大きくしてんだよ。
「なんかジュース飲むか?」
ここで、初めて俺は口を開く。とりあえず、このぐらいはな。
妹は曲を聴く前だったようで、俺の声をしっかり認識していた。俺とは目を合わせずに、
「グレートオレンジスクランブル versionAK 最終決戦仕様で」
「日本語で頼むわ」
「正当な日本語だけど」
「どこがだよ!」
「兄貴、そこまで腐っちゃったの?」
「元々腐ってるみたいな言い方すんな!」
ってか、なんだよグレートオレンジって。あれか、通常よりも甘みが増してんのか?つか、お前スクランブルの意味分かってんの?兵器の緊急発進だよ?オレンジ出撃させてどうする!
「ちなみに、AKは『兄貴クズ』の略称」
聞いてねえ!しかも俺を蔑みやがって!
俺はキチガイな妹に溜息を吐きながら部屋を出る。一応、オレンジジュースを持っていこう。なんて優しい兄なんだ、俺は。
そうして、ジュースが入ったグラスを両手に持って、俺は志乃の待つ部屋に入ろうとするのだが、
「ジュース邪魔で開けられねえ……」
たまに起きる事象なのだが、こういう時は連れの誰かが気付いてドアを開けてくれる。これまでに俺がこの状況に苦い顔をする事は一度も無かったのだが……。
妹は、やっぱり開けてくれない。
「おーい、志乃。ドア開けてくれないか?」
無理だと分かりながらも、一応声だけはかけておく。もしかしたら、開けてくれるかもしれないしな!
しかし、俺の言葉に応じる気配は無く、部屋からは物音一つしない。
やってくれましたよ志乃さん。期待通りに開けてくれねえ!
つかあいつ、曲聴いてるんだよな。俺の声聞こえるわけないじゃん。
いやいや、でも俺は今ドアの目の前でずっと立っている。気付いてもおかしくは無いと思うんだけど。
考えられる事はただ一つ。
「あのクソ野郎、ガン無視しやがったな?」
*****
それから十分後、俺の存在にやっと気付いた志乃は、静かに楽園への扉を開けてくれた。その際に発した我が妹の言葉と言えば、
「気配消さないでよ。私、喉渇いてたの」
もう、ツッコむ以上に飽きれた。俺、気配消したつもり無いんだけどな。
そんな俺の切ない思いを知る筈も無く、妹は俺が持ってきたオレンジジュースを見て、不満そうな顔を張り付けた。
「兄貴、頼んでたやつと違う」
「当たり前だ!戦闘用のオレンジジュースなんざ聞いたことねぇよ!」
「死ね」
え?今俺死ねって言われた?泣くよ?泣いちゃうよ?激
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