EPISODE18 ダークマター
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め苦笑いで返す。
「大丈夫だ。・・・・多分」
フォローできない僕を許してくれ。
「・・・・フン、まあいいわ。一夏、あんたにこれあげる」
そう言って鈴がバッグから出したのは酢豚の入ったタッパーだった。それを見た一夏のテンションがあがる。
「おお、酢豚か!」
「前に食べたいって言ってたでしょ?作ってきたからあんたにあげるわ。ありがたく思いなさい!」
高らかに言い胸をはる鈴。よほどの自信がるようだ。
だが、鈴の期待も淡い。相手はミスター鈍感の異名を欲しいままにするあの織斑一夏だ。当然、彼女の期待通りの展開になるわけもなく。
「ほら、ライも食べてみろよ。鈴の酢豚めちゃくちゃうまいんだぜ?」
「いや、僕は――――――」
「いいから、ホラ」
喋ってる最中に箸でつまんだ豚肉を僕の口に放り込む一夏。空気読めと言いたかったが・・・・。
「どうだ?」
「・・・・うまい」
「ごめん鈴」「いいわよ、そんな気がしてたから・・・・」なんて会話を目でする。そしてなにやら顔を赤くする箒とセシリア。何を想像してるんだなにを。
「シャルルもたべなよ。口にあうかどうかわかんないけど」
「ありがとう凰さん。モニカも」
「毒はないようですし、せっかくのお気遣いなのでお言葉に甘えさせてもらいます」
シャルルとモニカも一口。料理において定評のある鈴の酢豚は当然のごとく受け入れられ、あっという間になくなった。
「ライさん、わたくし特性のサンドイッチも召し上がってくださいな」
セシリアの持つバスケットには色とりどりの鮮やかなサンドイッチが。ありがとうと一言断り一つ手にとる。
「・・・・うん、おいしい」
「当然ですわ」
これまた誇らしげに胸をはるセシリア。・・・・ちょっと直視できない。
「みなさんもどうぞ」
「じゃあ遠慮なく」
「ところでセシリア」
「なんでしょう?」
「このタマゴサンド、ちょっと想像してたのとちがうんだけど何かいれたのか?」
「はい。隠し味に・・・・」
と、これは秘密なようで僕に耳打ちしてきた。うむ、たしかにユニークだ。
「い、いい一夏!?」
・・・・一夏が顔を真っ青にして倒れた。鈴も同様。
「貴様、さては毒を!」
「失礼ですわね!そのような下賤なマネはしませんわ。わたくしのサンドイッチのあまりにものおいしさに気絶してしまったようですわね」
「・・・・セシリア。味見はしたのか?」
おそるおそる聞く箒。返ってきたのは――――――
「してませんわよ?」
の一言だった。
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