EPISODE14 日常〜一夏&箒編〜
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静まり返る剣道場に、乾いた音が鳴り響く。小刻みにリズムよく響くそれは竹刀を打ち付けあう音だ。
厳粛な空気がピンと張りつめ、やがてまたぶつかり合う。だが、今度は違った。
「痛てぇ!?」
箒の一撃を喰らった一夏が尻もちをつく。
「手加減してくれよ箒ィ」
「たるんでるぞ!少しはライを見習ったらどうだ。汗一つかいてない」
「いや、俺もう何戦やったかわかんねーし!てかなんで俺だけこんな扱い!?」
「うるさい!貴様がたるんでるのがいかんのだ!」
一方的に攻め立てる箒とそれにぐぬぬとなる一夏。端から見れば一方的にいじめられているようにも見えかねないこの光景だが、これが二人の仲の良さを物語っていると僕は思う。
「ふたりとも本当に仲がいいんだね」
「こいつと一緒にするな。ただの腐れ縁だ」
「さらっと酷いこと言いますね箒さん」
こんな会話がおかしくて思わず笑ってしまう。
織斑一夏と篠ノ之箒。二人は僕がここに来て始めに知り合った友人だ。特に一夏は二人しかいない男子生徒とだけあってすぐに仲良くなることができた。
「お、やっと笑ったな」
「え?」
「初めて会って以来、あまり笑わないからちょっと心配でさ。けどそういう表情もできるってちょっと安心した」
「どこか他人と距離を置くような感じもいまではだいぶ和らいできたからな。近寄りがたい雰囲気もなくなっている」
・・・・驚いた。ここまで僕のことを見ていたとは。
一夏と箒・・・・僕はふたりを軽視しすぎていたのかもしれない。この二人の洞察眼はかなりのものだ。
「ありがとう。ふたりとも」
「礼なんていらねーよ。友達だろ?」
友達――――不思議とその言葉が心に響いた。なんてことない言葉なのに、それがなんだかすごく温かかった。
「・・・・ああ」
ふたりの笑顔が、まぶしく見えた。
◇
場所は変わって屋上。今日まで休みとだけあってまだ校舎内は静かだ。
ここらは海がよく見える。心地よい潮風が吹き抜け、リラックスするにはもってこいの場所だ。
「ってことは、記憶はまだもどってないのか」
「ああ。だけど、断片的には思い出した」
「なにを思い出したんだ?」
「・・・・僕には妹がいたかもしれない」
夕べ鈴と折り紙していたときに見あの光景はよく覚えている。おぼろげではあるけれど、いままでのよりははっきりとしていた。
「妹か・・・・」
「他にはなにかおもいだしたのか?」
「それが全然。妹
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