EPISODE13 日常〜鈴編2〜
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食堂で夕飯を食べながら鈴が言う。
「一応進展らしい進展はない。だが手がかりはあった」
「ふ〜ん・・・・あ、そうだ」
鈴がなにか思いついたようにポケットを漁りだす。
「これ、わかる?」
「これは・・・・折り紙か」
鈴が持ち出してきたのは折り紙。・・・・というかどうやって入れたんだ折り紙。
「昔なんかの本でよんだことがあってね。こういうのやるとなにか思い出すかもとおもってさ」
なるほど。折ってできたものがなにかの切っ掛けで記憶につながるかもしれないということか。
鈴の気遣いに感謝しつつ、おもむろに一枚手にとって折る。鈴も同じように折りだしたのだが・・・・
「ハイ、出来上がり」
「手際がいいな。それに綺麗に折れてる」
「こう見えて手先の器用さには自信があるのよ」
なるほど。内面的なことには不器用でもこういうのは器用に――――――
「大きなお世話よ」
いつの間にか声にだしていたらしい。これからは気を付けよう。
さて、僕も完成したのだが・・・・
「鶴ね。しかもかなり綺麗じゃない。あんたあたしに似て器用ね」
鶴・・・・。
べつに考えておっていたわけじゃない。なのに手先がかってに動いていつの間にか完成させていたことに驚く。ごく自然に、そうするのが当たり前かのように指が動いていた。これもなにか記憶に関係あるのだろうか?
「ふふん、じゃ〜ん」
誇らしげに鈴がなにか見せてきた。白い紙に肌色の紙といったいどこからだしたのかわからない色鉛筆で装飾を施していた。
これは・・・・
「はい。これライにあげる」
「いいのか?」
「お礼よ。あたしのこと色々気遣ってくれたし、事件の時には助けてくれたしね」
助けた・・・・と言えるのかどうか疑問だが、これが彼女の気持ちだというのなら受けるべきだろう。
「ありがとう。大事にするよ」
(だからちょっとは自分の容姿かんがえなさいよアンタは〜・・・・!!)
顔から湯気でもでそうなくらいに真っ赤になる鈴。熱いのか?だが・・・・
「にゃい!?」
「あ、すまない。つい・・・・」
「び、びっくりするでしょ急に!頭撫でるとかなんなのよ!?」
「いや、なんかこうしたほうがいいような気がして・・・・すまない。謝罪する」
「いや、別に嫌いじゃないわよ。むしろ・・・・嬉しいし・・・・」
「なにか言ったか?」
「なんでもないわよ!」
怒ったり笑ったりと、表情がいろいろコロコロ変わってなんだか楽しい。さっきの折り紙もそうだが、なんだか妹みたいに――――――
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