EPISODE11 日常〜セシリア編2〜
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セシリアと合流して、宛てもなくただ歩く。この時間が僕は好きだ。
「それで、チェルシーが・・・・あ、チェルシーというのは私のメイドのことで・・・・――――――」
他愛のない会話が弾む。僕は彼女の話題に対し相槌をうつだけになってしまっているが、それでもセシリアは楽しそうに自分のことを話す。彼女曰く「私のことを少しでもよく知ってもらいたい」だそうな。
いつも会うし、会話もする。今更な気もするが記憶のない僕への彼女なりの気遣いなのだろう。
記憶探しの方は相変わらずなんの成果もない。ここまでくるともういいような気もしてくるがやはり自分のことを何も知らないというのは非常に気持ち悪い。なんとかして欠片でもいいから思い出したいのだが・・・・
「ライさん?」
「ん?ああ、すまない」
どうやらいつの間にか考え込んでいたようだ。彼女がご立腹なのがその証拠。
「・・・・やはり気になりますか?ご自分の記憶のこと」
「ああ。やっぱり僕は自分の記憶を取り戻したい。その結果がどうであれ、取り戻さなければいけない・・・・そんな気がするんだ」
戻らなくてもいいと思っていた。このままでも。でも、鈴と会った時のあのビジョンが頭から離れない。あの空間の中の僕は誰かと約束していた。とても大切な約束を。
だがなんなのか思い出せない。もしかしたらこの世界のどこかに僕の関係者がいて、この約束が果たされるのを待ち望んでいるかもしれない。もしそうなら、僕は・・・・
「・・・・一つだけ、方法があります」
「本当か!?」
「はい。ライさんの血液データをとらせていただければ、その中からDNAサンプルを採取して私の会社でできる限り調べてみます。ですが、それだとライさんのことが公になる可能性もすくなくはありません」
学園がいまだに僕のことを公表しないのにはきっとなにかある。セシリアなりに考えてくれてたのだろう。
だが、そのリスクを冒してでもやってみる価値はある。チャンスなんだ。
「頼んでもいいか?」
「このセシリア・オルコット。あなた様の為なら全力にて」
承諾の意を示すようにロングスカートをつまみ、優雅にお辞儀する。言葉とは違い、なんとも美しい。
というか――――――
「その言葉だと、まるで僕が王様みたいだね」
「そうか?実際そうだろう」
・・・・へ?
「セシリア・・・・?」
「はい?」
・・・・おかしい。今確かにセシリアとは違う何かが今いた。僕の言葉に返事した。しかも、彼女と同じ声で。
あたりを見回す。僕と彼女以外の姿はもちろん、気配すらない。クラブのハイパーセンサにも異常なんてものは検出されていな
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