暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百六十六話 利休の茶室にてその十一

[8]前話 [2]次話
 だが、だ。それでもだというのだ。
「数は多く率いる将帥も多い」
「それに武具や具足もよいですな」
「それで勝てる。鉄砲もある」
「武田とも戦えますな」
「そうじゃ」
 だからだというのだ。
「織田家の軍が整えばな」
「武田とも戦えますか」
「負ける気はせぬ」
 信長の方でもというのである。
「全くな」
「さすれば」
「竹千代は死なせぬ」
 このことはだ、決してだというのだ。
「あ奴はな」
「そのことはですな」
「織田の兵をまだ動かせぬとしてもな」
 そうした状況でもというのだ。
「何とかしてみせるわ」
「さすれば」
「ではな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 信長は利休の茶を飲む、飲み終えて口をつけたところ指で拭い利休に茶の席での礼を述べてからだった。
 確かな目でだ、こうも言ったのだった。
「ではな」
「これよりですな」
「本能寺に戻る」
 織田家の者達が今集まっているそこにだというのだ。
「そのうえでじゃ」
「岐阜に戻られ」
「今は兵を休める」
 疲れきっている、今はそうしなければというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「力を養い次の戦に備える。美味い飯もたらふく食わせる」
 疲れきっている彼等にだ、そうするというのだ。
「ではな」
「武田、上杉との戦に」
「両家は動く」
 間違いなくだ、そうしてくるというのだ。
「それぞれ兵を向ける」
「それにも備えますか」
「まずは備えからじゃ」
 戦はだ、そこからはじまるというのだ。
「それでじゃ。よいな」
「わかりました」
 利休と話してだ、そしてだった。
 信長は本能寺に戻る、そのうえで家臣達に顕如との話のことを詳しく話した。そのうえで彼等に言うのだった。
「政のことはな」
「はい、整えてですな」
「安土で」
「そこで公にする」
 こう言うのだった。
「そしてじゃ」
「それで、ですな」
「安土において」
「論功を行う」
 安土城が出来上がったその時にというのだ。
「よいな」
「わかりました、ではそれまでの間」
「我等も」
「休め、しかしじゃ」
 それでもだというのだ、休んでいる間も。
「武田と上杉には油断するな」
「あの両家のことはですな」
「油断なき様に」
「動いてくる」
 このことも家臣達に言った。
「必ずな」
「そうですか、それでは」
「ここは」
「うむ、来る」
 だからだというのだ、彼等は必ず来るからこそ。
「備えはしておけ」
「ですが殿」
 氏家が言ってきた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ