第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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事で忙しいのに時間を作ってくれる辺り、何か考えがあっての事なんだろう。
耳を澄ませればきゃいきゃいと女の声が三色、遠くから聞こえ始めた。若干ハスキーな張りのある声、ほんわかとした柔らかい声、元気いっぱいの愛らしい声。どれが劉備か、なんて予想もつかない。
さらに歩くこと幾分、東屋まで後少しの所で関靖がじとっと睨んでいた。
「まだ時間には早いです。そんなに劉備が気になるんですか」
「いや、時間前行動は基本だろ。っていうかお前、仕事は?」
「今日の分を昨日少しだけやってたんです。お前を一人で会わせると碌な事にならなさそうでしたから」
相も変わらず俺に厳しい。真名の交換はしていないと言っても、名前でさえ呼んで貰えないのは心に来るものがある。先に呼ぶまで俺は呼んでやらんけど。
それにしても碌な事にならんとは……どんな事を想像してるんだ。
「ああ、勘違いしないでください。お前が何かするって意味じゃないです。まあ、会ってみたら分かりますよ」
言われて疑問だらけになった。曖昧だった劉備のイメージがさらにぼやける。
そんな俺には構わずに、関靖はさっさと一人で向かっていった。
慌てて追随し、東屋が見えると……まず目に入ったのはキラキラと流れる黒髪の女性。正直一発で分かった。
――あれが関羽か。美しい髭が髪になってるって……安直過ぎだろ。
そして赤い髪の小さな……キックが必殺技の改造人間のようなマフラーを巻いた愛くるしい幼女と、桃色の髪の高校生くらいの子。さすがにこんな可愛いらしい幼女が劉備なんて事は無さそうだから、桃色の方が劉備に違いない。
俺達が目に入ったのか三人は立ち上がりこちらを見据えていた。
到着同時に何故か関靖が落としたため息を合図に、俺は小さく会釈をして自己紹介を始める。
「お忙しい所をお呼び出ししてすみません。俺は徐晃、徐公明と申します。お時間を取って下さり、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ話してみたいって思って下さってありがとうございます。私が義勇軍大将の劉玄徳です」
「関雲長と言います」
「張翼徳なのだ!」
案の条、人物予想は的中だったようだ。
――そうかー、この世界の張飛は“のだっ子”かー、可愛いなぁ。なでなでして……っていかん、幼女にばかり気を取られるな。
一瞬で包まれた緩い空気は、何処か穏やかな日向の公園に居るような気にさせてくれて、頬が綻んでしまった。
ここで気付いた。東屋には椅子が足りない。四人分しかないから誰かが立たないといけない。
――まあ、女の子達に立たせるわけにゃいかんよな。
と、思い口を開こうとすると、関靖に先を越された。
「今日の私はオマケなので立ったままでいいですから、気ぃ使うんじゃないですよ、バ
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