第二話 彼の思惑は彼女達の為に
[4/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
けない……ただそれだけが牡丹の嫌う理由らしい」
「……俺にもそんな感じだけど」
「ふふ、秋斗殿がいじわるをするからでしょうに。それでもこうして付き合ってくれているあたり、嫌ってはいないと思われます」
「そういうもんかねぇ。ま、俺も直接見たら分かるだろ」
なるようになるさー、と気の抜けた秋斗の一言で二人は歩き出した。
――どうせまた女の子なんだろう。ここから先の苦労を思えばなんか手助けしてやれたらいいけど……。
三国志の最重要人物に思考を馳せ、その結末がどうなるかも思い出しながら秋斗は星にまたなと手を上げ城へと歩みを進めて行った。
†††
街の警邏は無駄が多すぎる。白蓮の所に来てまず初めに考えたのがそれだった。
客将が歩けばその情報が行き渡り、誰かが悪さをする箇所が他で増える事が多かったのだ。確かに歩いている間は諍いや悪事を止められるのだが、自分が居ない場所にすぐ手が回らないのがもどかしくて仕方ない。
思い至れば早く、すぐさま警察のシステムを参考にして草案を作り、関靖に見せると、
「……お前、城でしばらく机に向かってください」
そんな一言と共に採用され、俺にこの件を任せられたのには驚いた。
ただ……他の案件も次々と押し付けられ、晴れて白蓮と関靖のようなブラック社員仲間になったのは誤算だった。唯一の救いは、客将なので押し付けられる仕事が簡単なモノしかなかった事くらい。
現場の判断が無いとどうにも動かないので、警備の件は星に見回って貰ってゆっくりと案が固まってきている。
白蓮の所に来て二週間程たった。実は仕事が忙しすぎて白蓮とは昼食と夕食くらいでしか話していない。
メシを食べながら教えて貰ったのはこの街や付近の村々の現状など多々あるが、やはりというべきかこの時代は荒れすぎて恐ろしい。
野盗の集落がどこそこにあるとか、賊が廃城を占拠してるとか……白蓮が政務に縛られて直ぐさま討伐に行けないのも問題である。
それを解決する為に雇ったのが劉備義勇軍らしい。
劉備は各地を転々と人を救うために歩いている内に関羽、張飛と出会い、一つの村を賊から救った事によって義勇軍に発展し、扱いやすいからと白蓮が義勇軍のままで雇った……というのが現状の経緯とのこと。
気を使いすぎる白蓮の事だから、俺や星みたいに劉備がいつでも出て行けるようにと考えてだろう。
「あいつは本当に優しいけど甘い……って言っちゃ悪いな。俺もその恩恵を受けてるわけだし」
廊下でぼーっと歩きながら一人ごちる。
今、俺は劉備と話をする為に、彼女達を呼び出した東屋に向かっていた。
かなり遠い所での賊討伐から劉備が帰ってきた次の日、夕食時に劉備と話してみると言うと、関靖が立ち会うと言ったのだ。仕
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ