第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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懸命で、頑張り屋さんで、白蓮に憧れて、認めて貰いたくてひたすら努力して来たんだなーって感じる。今回の事にしても白蓮の心を守る事と、義勇軍問題の負担を減らすには劉備達に直接話さないとダメな事で悩んでたみたいだしな。
まさしく白蓮の、『白馬の片腕』って言えるだろうよ。まあ、なんか恥ずかしいのとからかうのが面白いから素直には従ってやらんけど、少しでも助けになるなら俺くらい、いくらでも使ってくれればいい」
ゆっくりと目を瞑った白蓮は穏やかに微笑んで、喧嘩しながらもどこか楽しそうに見えていた二人の姿を思い浮かべる。
――牡丹の方も、お前の事は悔しいけど認めてるって零してたからなぁ。案外相性もいいのかもしれないし、これでいこう。
「お前らは互いにツンケンし過ぎだ。私の治めるこの地の為にも、もっと仲良くなって貰わないと困る」
「あー、仲良くしようとは思ってるんだがなぁ。なんとなくからかっちまうんだよ。あいつとのやり取りは中々に楽しいし」
「いきなりやめろとは言わないさ。だからな、お前の処置は……これまで以上に牡丹の下で死ぬ気で働け。義勇軍問題の大半、警備隊の事も、義勇兵の練兵の事も、二人に任せる」
目を見開いた。的確な処置であると同時に、全てをいい方向へと導けるであろうモノであったから。
つまり白蓮の部下達からの信頼も厚い牡丹の下で馬車馬の如く働いてみせて、客将が変な気を起こすつもりはないのだと、結果で示して見せろと言っていた。
秋斗にとっては元より提案するつもりだった事。
義勇軍との繋ぎ役として動きやすく、また白蓮の客将としてもやりやすい適切な立ち位置。何より牡丹との仲を深めるいい機会にもなる。
客将程度が勝手に政事に口を出し、あまつさえ友人との関係崩壊の可能性も浮上させたというのに……出て行けと言わない白蓮に秋斗は驚愕を隠せない。
「白蓮はやっぱり……優しいな」
ふっと口元を緩めた秋斗は、彼女の暖かさを見せられて心が弾む。
――本当に、こんな奴が大陸を治めたら……乱世なんか来ないのになぁ。
自分がどうするかもまだ決めていない現状で、劉備がどういった人間かもある程度見極めた状況で、ポツリと小さな想いの火が灯る。
白蓮と一緒に乱世を乗り越えられたら、どんな優しい世界が作れるんだろうか、と。
「ありがとう。まあ、これまで以上の権限を与えられる事になるから仕事も増えるだろうけど、無茶だけはするなよ? ある程度落ち着いたらまた酒のある楽しい時間を作るんだから。
ふふ、今度は途中で寝ないからな?」
綺麗に、子供のように笑った白蓮に、秋斗は思わず見惚れた。
自然と頬が緩む。もう一つ、秋斗の心に想いが宿った。
――ああ、白蓮にはもっと笑って過ごして貰いたい。
この地
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