第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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題の事、勝手に話してすまないな」
「……お前が私の身体と心を心配してくれたのは嬉しいよ。でも桃香の思考を誘導したのは腑に落ちない」
厳しい目線と強い圧力は、秋斗を鋭く射抜いた。
秋斗はこうなる事が分かっていた。牡丹と劉備だけで白蓮に義勇軍問題の話をすれば、秋斗の思惑を看破してしまう、と。
狙いは劉備達三人の幽州残留。出て行きたい時に出て行けばいいという白蓮の想いとは真逆のモノ。
牡丹が危惧していた白蓮の心の負担というのは、劉備を縛り付けてしまうという負い目。桃香は自分よりも皆に期待される凄い奴なのだから、とサポートする側に回ろうとしていた白蓮の優しさを踏みにじったのだ。
「お前が守りたいのはなんなんだ?」
放つ圧力を受け流し、対面に椅子を据えて腰を降ろしながらの秋斗の一言に、白蓮は小さく鼻を鳴らした。
「この幽州の家だ。だけど……それは私の遣り方で治めてこそ、だ。自責の鎖で友を縛るなんて私は望んじゃいない」
「友達関係の義はお前のやり方でいいだろうさ。でも関靖のような部下達の負担を減らす方を選んでやってもいいじゃないか」
沈黙は肯定を差して。白蓮も牡丹の事はどうにかしてやりたいと常々考えていた。しかし……それでもどちらも大切にしたいのが白蓮であった。
ただ、今回は少し様子が違う。
いつもなら真っ直ぐに秋斗に言葉をぶつけて行くのだが、何故か沈黙したままであった。
ため息を一つ。
白蓮はゆるく笑ってやれやれと首を振る。
「許せ秋斗。今回の事は私のわがままが招いた事だな。『公孫賛』はお前の行いを認めるしかない。義勇軍に働き手を取られた村々の暮らしは必ず苦しくなっただろうし、私の兵からも部下達からも、義勇軍の待遇に不満を漏らし始めるのは時間の問題だったろう。
私達には見えない所まで注意を払ってくれて、解決策を提示してくれたんだから、お前が正しい」
「いや、俺も白蓮の心を蔑ろにして勝手な事をした。解決策を提示する前に話しておいた方が良かっただろ。すまなかった」
謝り合う二人はもういつも通りに戻っている。半月ほどの短い期間ではあるが、毎日のように食事を共にして、お互いどういった人柄であるか読み取っていたから。
「うん。私達二人の間ではこれでいいな。でも客将が勝手に話を進めた事は既に部下達にも知れ渡ってしまったから、なんらかの処置を与えないとダメなんだ。だから一つ質問に答えて欲しい」
訝しげに首を傾げるも、コクリと頷いた秋斗。白蓮にしては珍しい事に、にやりと笑う。
「牡丹、だけどな。お前って結構あいつの事考えてやってるのか?」
「そんなのが罰なのか?」
「いいから答えろ。どう思ってるかも含めてくれると嬉しい」
「……凄い奴だと思うよ。自分の主の為にいつも一生
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