第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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すきっとそうです白蓮様の美しい気遣いを穢してしまった私はもう馬に踏まれて潰れてしまえばいいんですそれとも脳髄を洗ってしまえば白蓮様のように純真で美しい思考になれるんでしょうかでも誰に頼みましょうこの黒いのだけは真っ黒になりそうだからいやですけど星だと捻くれてしまいそうだからいやですああどうしたら――――」
ぶつぶつ言い続けてたのは分かってたが、何時の間にか暴走していたらしい。
ポカンと口を開けている劉備達は、どうやら関靖の暴走を見るのが初めての様子。白蓮はどうやって暴走を止めてたんだっけか。
確か……
「早く、戻れ、このバカ」
三つ言葉と共に優しく頭を撫でてみた。さらさらの髪の毛は柔らかくて、いつまでも撫でていたいような気にさせられる。
いつの間にか関靖の独り言が止まり、ギギギと音が鳴りそうな動きでゆっくりと俺の方を向いて――――
「なに気安く頭撫でてんですか! この真っ黒バカ!」
「ぐはぁっ!」
頭突きを一発、顎にクリーンヒット。脳髄が衝撃で揺さぶられ、意識が手放されていく。
倒れて行く間は、まるで宙を舞っているような感覚で心地よかった。
劉備の心配そうな声が聴こえた気がしたが、俺にはそれからの記憶が無い。
†††
目が覚めた。
寝台の上、誰も居ない暗い部屋、静寂が痛く響く夜半過ぎ。
どれだけ寝ていたのか、何故寝ていたのかと思考を巡らせて行き、秋斗は牡丹の頭突きを思い出し、顎をさする。
「砕けてなくてよかった。まあ、いきなり女の子の頭撫でた俺が悪い。これは土下座もんだな」
言うなり伸びをして、寝台から立ち上がった秋斗は静かに部屋の扉を開いた。真っ暗な廊下には人の気配が全くない。
皆、寝てしまっているのだからとなるべく音を立てないように気を遣いながら目的の部屋に進む事幾分。やはりというか、予想通りと言うべきか、遠くから見たその部屋には灯りが揺れている。
「起きてるだろうと思った」
劉備達をどうするか、提案したモノが通ったかどうか、それの確認をしようと彼は向かっていた。
扉の前に着いて、気配が殺気立ったモノに変わったのでノックを二回。雰囲気が緩まると同時に、
「入れ」
凛とした声を合図に扉を開けた。
机の上でゆらゆらと燃える灯りだけが輝く薄暗い部屋の中、白蓮は急な来訪者である秋斗に取り乱す事も無く、むしろ怒りをその背に浮かべてじとっと見据えた。
「関靖は寝たのか?」
「寝かせた。昨日も一昨日も遅かったからな」
「……お前もだろう?」
「牡丹の方が私の代わりにいろいろ動いてるから疲れが大きいんだ。私はこのくらいもう慣れたさ」
尖がった声は白蓮の怒りを秋斗に伝える。
「義勇軍問
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