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第四十二話 紅と白
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のはそれほど速くはない。アリーナという範囲が限られた戦場や、接近した状況ならともかく今回のような作戦ではかなり厳しい。
「それはほら、束さんがしーちゃんのために開発した専用パッケージを使えばちょちょいのちょいで」
「いつの間に……」
どうやら、外付けのパッケージを開発していたようだ。
この機体は既存のものとはコンセプトそのものが違うからそう簡単に適応するものは作れないはずなんだけれど。
でもまぁ、僕も作戦に参加できるのなら望むところだ。みんなを守ると覚悟を決めた今、織斑君と箒さんだけを危険に晒したくはない。
こうしてなし崩し的に僕も作戦へと同行することになる。とはいえ、要となるのは二人であることに変わりは無い。僕は何かイレギュラーがあったときの保険のようなものだ。
目の前でパッケージの説明と調整をする束さんを見ながら、僕はふと訪ねる。
「ねぇ、この件も束さんなの?」
いつもの口調で……もちろん近くに誰もいないことは確認した。
「うん? なんのことかな? でもこれが箒ちゃんのデビュー戦だよね。ここで活躍すれば誰も文句言わなくなるんじゃないかな」
それも一つの答え。
立場上、束さんの妹ということで微妙な位置にいる箒さんは常に危険に晒されている。そもそも学園に入学したのも保護プログラムによってだ。
それが専用機を持ち、世界に実力を証明したとなれば生命的な危険は減るかもしれない。
でも、だとすれば疑問が残る。
確かに力を示すことはできるけれど、それ以上に厄介事に巻き込まれる可能性も高まってしまう。そんな真似を束さんがするだろうか。
「ねぇ、本当のところはどうなの?」
「……しーちゃん。敵はね、見える場所にばかりいる訳ではないんだよ。そう、実はこの束さんが全ての黒幕で、とある野望のためにしーちゃん達を利用している可能性だってあるのさ!」
冗談……なんだろうけれど何故かその言葉が耳に残る。
「さて、これで終わり! まぁ、しーちゃんなら大丈夫だよ。これからもっともっと強くなれるんだから。その過程で、できれば箒ちゃんやいっくんは守ってくれると嬉しいな。ちーちゃんは……まぁ、心配するまでもないかな。他はどうでもいいよ」
「束さん?」
何か、彼女らしくない。
「これからいろんなことが起こるだろうけど、しーちゃんがやりたいようにやればいいと思うよ」
「……うん」
「だから頑張って、バイバイ! ……ごめんね」
言いたいことだけ言って、やりたいことだけやって彼女はどこかに行ってしまった。
「うん……バイバイ」
最後の言葉、聞き取れなかったけれど口の動きは『ごめん』と言っているように見えた。
それに去り際に振り返ってこちらを見なが
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