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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第四十二話 紅と白
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ていた。

 今まで呆気にとられてその様子を見ていた周囲の生徒を余所に、僕はそれらの視線とはズレたところを見ていた。まるで敵を見るかのように、束さんをことを厳しい顔で見つめる千冬さんのことをただじっと……。この時の僕はいったいどんな表情だったのだろうか。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「たた、たったた大変でっす。お、お、おり、織斑先生!」

 突然周囲に響いた山田先生の言葉で、僕は我に返る。
 いつもアワアワした様子の彼女であるが、今回のそれは尋常ではない。何かが余程のことがあった証拠だろう。
 そのまま僕は束さんを一瞥するが特におかしな様子はない。だけど何故だろう、この一件に彼女が絡んでいる、確信めいたものが僕の中にはあった。

「専用機持ちは?」
「ぜ、全員出席しています」

 山田先生を落ち着かせた千冬さんが事情を聞いている。途中から特殊な暗号手話でやり取りを始めたことから、それなりに機密事項があるのだろう。とはいえ、日本のIS関連部署で使われているものだから何人かは理解できてしまうのではないだろうか。少なくとも僕はある程度わかるし、日本の代表候補生である簪さんも知っているはずだ。
 
 そう考えると、それほど隠すつもりはないのか……。いや、なるほど。そもそも僕らにはバレても構わないということか。
 二人の手話から断片的な情報を得た僕は、そう結論付ける。

「全員、注目しろ! 現時刻をもってIS学園全職員、及び指定した生徒は特殊任務行動に入る。よって、本日の行動予定は全て白紙に戻す。これから呼ばれる者以外は旅館に戻り、各部屋にて指示があるまで待機しろ。なお本件は最重要機密に相当する、よって一切の詮索は禁止だ。指示に従わないものは拘束対象となる、以上だ。わかったらとっとと戻れ!」
『は、はい!』

 千冬さんが一気に捲し立てると、勢いに飲まれたのか生徒達は一斉に返事をする。
 意味がわからないといった様子だけれど、指示に従わないとまずい雰囲気であることは誰もが察したようだ。

「今から呼ぶ者はこちらに集まれ。といっても専用機持ち全員だがな。織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、西園寺、更識……それから篠ノ之もだ!」

 その瞬間、嬉しそうな表情を浮かべた箒さんを見て僕は言いようのない不安に駆られる。
 これは実戦だ、それも国家レベルの。当然、下手をすれば死ぬことだって考えられる。彼女はそれを理解しているのだろうか。

 そして、それ以上にそのレベルの案件に生徒である僕らを集める学園側の意図がわからない。学園がいくら各国からの治外法権となっているとはいえ、この場所は厳密には違う。あくまでここは日本であり、学園側が臨海学校のために借り受けているに過ぎない。
 そこで、外国の
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