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第四十二話 紅と白
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をたてて落下してくる。あの人参はただの登場用のネタのためだけではなかったのか。
僕が変なところに感心している間に砂浜に落ちてきたそれは、銀色の箱のようなものですぐにバラバラになる。そして中から現れたのは、太陽の光を目映く反射する深紅の装甲に身を包んだISだった。
周りの生徒はもはや目の前で起こっている出来事が理解できていないような状況だけど、見たことのないISが現れ、それが箒さんに与えられるということが知らされると少なくない人間が不満そうな顔をした。
気持ちはわかる。この学年の専用機持ちと親交があるとはいえ、本人の成績は決して一般生徒と比べて抜きん出ているという訳ではない。それが束さんの妹というだけで専用機を与えられるのだから。
「おや、今まで世界が平等だったことが一度でもあったかな?」
これは束さんの口癖のようなものだ。世界は平等ではない。現に、今不満を感じた彼女らも女性、しかもIS適正があるというだけで少なくない恩恵を受けているはずなのだから。もっとも、それが正しいかどうかはわからないけれどね。僕だって理解はしても納得はできない。
「よし、終わり! それじゃ装備の説明に入るよ〜」
僕が考え事をする間にフォーマットとフィッティングが終わったようだ。相変わらず早い。僕もマニュアル操作での速度には自信があるけれど、さすがに束さんには叶わない。
いや、彼女のことだからある程度箒さんの現状を予測していたのかもしれない。束さん曰く、彼女の頭上にある『箒ちゃんセンサー』は日ごとのスリーサイズの成長も正確に捉えることができるとか。
なにそれ、怖い。あれって僕が昔あげたカチューシャ……だよね? どんな改造してくれちゃったの?
それはともかく、目の前では紅椿の試験運用が繰り広げられている。
その飛行速度だけでも量産機とは比べものにならない、それどころか専用機でも追随は難しいレベルだ。
そして束さんの口から説明される二つの武装。それは左右に一本づつ持つ展開された刀だった。
右手に持つのが『雨月』。打突に合わせてエネルギー刃を放出する、散弾銃のような特徴を持った攻撃手段を持つ刀。その射程はアサルトライフルほどと狭いが、超高速で接敵が可能なこの機体なら有効だろう。
左手に持つのは『空裂』。斬撃に合わせて帯状のエネルギー波が広がり、刀を振った範囲に自動的に展開する。その威力と範囲は、束さんが放った十六連ミサイルを箒さんが一太刀で撃ち落としたことで実証される。
箒さんはISの基本的な動作はどこか覚束ない部分があり、機体性能に振り回されている印象を受けるものの、刀の扱いはやはりスムーズだ。もともと彼女の流派でもある篠ノ之剣術流には二刀を扱う型があるようで、ISでも様になっ
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