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蛭子
第二章
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る部屋に案内された。少女は襖を開けて彼をその中に導き入れた。
「こちらです」
「はい」
 部屋の中からえも言われぬ威圧的な雰囲気が感じられた。それはまるで何も言わせぬようなそうした威圧感であった。彼はそれを感じながら部屋の中に入った。
 そこには並んで一組の男女が座っていた。広いが質素で質実剛健な創りの部屋に二人は座布団を敷いて座っていた。見れば二人共絹の立派な服を着ている。そしてそこに並んで座っていたのだ。
「はじめまして」
「うむ」
 彼は一礼した。二人はそれに頷いた。
 それから彼は少女が出した座布団に正座した。二人と向かい合う形となった。少女はすぐに部屋を後にし部屋には三人だけとなった。こうして話がはじまった。
  この二人が夫婦、そして屋敷の主人であることはすぐにわかった。その服と威圧的な外見からすぐにそれはわかった。彼はこれからこの二人が自分の主になるのだと思った。そして村に入った時にあの老人が言ったことがさらに心の中で大きくなった。それを感じるとまた不安になった。だが今はそれを必死に抑えることにした。そしてあらためて二人に顔を向けたのであった。

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