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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十九話 権威
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も有る。問題は外交委員長だ、適任者が居ない」
トリューニヒトが渋い表情をしている。そうなんだよな、外交委員長の適任者がなかなか見つからないんだ。何と言っても百五十年も戦争だけしてきた、外交という概念は非常に希薄だ。馬鹿げているんだが元の世界は様々な国が有った所為で外交が成立したがこの世界ではそれが成立しない。おかげで外交の分かる人間が非常に少ないという奇妙な事態が発生している。
「ターレル副議長とネグロポンティ国防委員長は君とシトレ元帥のいずれかをと言っているんだが如何かな?」
二人を見たがちょっと困ったような顔をしている。気持ちは分かる、俺とシトレの二人を推しているが実際にはシトレの一推しなのだ。おそらくトリューニヒトにはシトレの方が周りからの受けが良いと言った筈だ。俺では周囲に納得しない奴が少なくない。
歳が若いし亡命者だ。外交問題でちょっとでも帝国と取引すればそれだけで経験不足だ、譲歩し過ぎだと騒ぐ奴が出るだろう。実際九兆帝国マルクの国債の償還についても十二兆帝国マルク全額償還させるべきだ、年間一千億帝国マルクの償還は甘いと騒いでいる奴がいるらしい。そいつらは俺の事を帝国に甘過ぎると見ている。
その点シトレは年齢、実績共に十分だ。俺には文句を言う奴もシトレには言わない。それにブラウンシュバイク公やリッテンハイム侯にも顔を知られている。シトレ本人に問題は全く無い。
「私が外交委員長では色々と煩いでしょう」
「ではシトレ元帥で良いかな?」
「適任とは思いますが、現状では必ずしも最善とは言えないと思います」
俺が答えるとトリューニヒト、ターレル、ネグポンが訝しげな表情をした。“拙いかね”とトリューニヒトが問い掛けてきた。
「戦争が無くなった事で軍内部が揺れる可能性が有ります。軍を一つに纏めるにはシトレ元帥の権威が必要ではないでしょうか」
俺が指摘するとトリューニヒト達が顔を見合わせた。
「軍の混乱か、……無いとは言えないな」
トリューニヒトが呟いた。ターレルとネグポンは渋い顔をしている。気持ちは分かる、適材適所なのだが別な不安要素がそれを妨げてしまう。世の中には時々そういう事が有る。ネグポンは特に不愉快だろう、国防委員長なのだから。
「では誰が適任かな? 君の考えは?」
トリューニヒトが質問するとターレルとネグポンが俺に視線を向けてきた。ちょっと緊張するな。
「私はグリーンヒル大将を推薦します。視野も広いですし誠実な人柄です。帝国も信頼するでしょう」
トリューニヒトが“グリーンヒル大将か”と声を出した。そしてチラッとターレルとネグポンに視線を向けた。二人とも特に反応は無い。反対では無いようだ。
「グリーンヒル大将か、その場合統合作戦本部長をどうするかという問題が発生するね」
「シトレ元帥に復帰
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