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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十九話  権威
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だがこいつは外交委員会の初仕事になる。首脳会談で揉めそうなところは潰しておいた。それほど難しい仕事じゃないから初仕事にはうってつけだろう。

部屋にはターレルとネグポンが居た、議会対策でもやっていたか、或いは留守中の出来事の報告か。ちなみに捕虜を乗せた輸送船は既にイゼルローンに向かって出発している。同盟側が先ずイゼルローン要塞経由で帝国に返還しその後帝国側から同盟に対して捕虜を返還するという順序になる。

「諮問委員長、忙しいところを済まない」
「いえ、お気になさらずに」
また厄介事だろうな。心は憂鬱、でも顔は笑顔だ。宮仕えは辛いよ。四人でソファーに座った。トリューニヒトの隣にターレル。俺とネグポンが並んで正面に座る形だ。トリューニヒトが表情を改めた。

「フェザーンに行くのは明後日だったね。戻ってきたばかりで疲れているだろうが宜しく頼むよ」
「戦争に比べればずっとましです。それに艦隊を率いるわけではありませんから」
「そうか、そう言って貰えると助かる」
トリューニヒトが幾分ホッとしたような表情を見せた。まあ演技でも嬉しくは有るな。

首脳会談でフェザーンの独立が決まった。その条約終結のために俺はフェザーンに行く事になっている。帝国からの出席者はマリーンドルフ伯だ。ここでもフェザーンの政治的地位が地盤沈下していることが分かる。本来ならトリューニヒトかターレル、帝国ではブラウンシュバイク公かリッテンハイム侯が出席するところなのに明らかに格下の俺やマリーンドルフ伯が出席している。

条約終結のためだけにフェザーンに行くわけではない、他にも用事は有る。フェザーン高等弁務官の交代だ。ヘンスロー高等弁務官は退任し新たにアブドーラ・ハルディーンが高等弁務官になる。良く分からん人物だがホアンの推薦という事だからそれなりの人物なのだろう。

俺の仕事は退任するヘンスローを連れ帰ることだ。こいつがフェザーンの飼い犬だったことは分かっている。フェザーンに亡命する等と言い出す前に出来の悪い犬を引き取らなければ……。トリューニヒトが宜しく頼むと言ったのはその辺りの事も含んでいる。

そして首席駐在武官にはヴィオラ准将が復帰する。本来首席駐在武官は大佐が任命されるんだが高等弁務官が新任で首席駐在武官が新任という事になるとかなり高等弁務官府は弱体化する。それは避けたいという事でヴィオラ准将が異例では有るが首席駐在武官に就任する事になった……。つらつらと考えているとトリューニヒトが話し始めた。

「外交委員会と通商委員会の設立が正式に認められた。首脳会談が成功に終わった以上、議会もすんなりと法案を可決してくれたようだ」
「……」
「順調と言って良いが問題が無いわけではない。委員長の人選だ。通商委員長は財界から選ぼうと思っている、それなりにあて
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