MR編
百三十五話 母と娘
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私の事、自分の経歴の一部にしたいだけだと思うけど……」
「え?」
「兄さんも、父さんとの結婚だって……きっと母さんにとっては、自分のキャリアの一部にする為の物で、他の誰かでもきっと「……明日奈」……っ!」
気が付くと、明日奈は普段の自分ならば絶対に言わないような……ひねくれた言葉を、思わず口に出していた。。そしてそれを遮るように、美幸の声が彼女の言葉の間にはさみこまれる。ただ、其れは……
「……自分のお父さんやお母さんの事、あんまりそう言う風に言ったらダメだよ?そう言いたくなる事も有るのは、きっと仕方ないと思う。でも、自分を育ててくれた人の事、そんな風に言っちゃ駄目」
「ご、ごめん……」
まるで姉に叱られる妹のように、明日奈は少し俯いて美幸の言葉に頷いた。ただ美幸の言葉が正論であったからだけでは無い。
其れを言う彼女の言葉が、何時に無く真剣で、少しだけ……怒っているようにも感られたからだ。
「無責任かもしれないけど……本当に一番良いのは、明日奈とお母さん、両方がちゃんと相手の事を理解する事だと思うから……だから、そんな事言ったりしないで、頑張って、ね?」
「うん……」
そう言って問うように首を傾げる彼女に、明日奈は曖昧に頷いた。
きっと、彼女の言う事は一番理想的で明日奈自身も、そうであればいいと願っている事であるとは思う。
ただ実際に其れが自分と母の間で可能な事なのかどうかは、未だ彼女には分からなかった。
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