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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十五話 母と娘
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……」
確かに、そう言った側面があの学校に有るのは否定はできない。それを知って居るため、美幸は思わず俯く。

「おかしな世界で殺し合いをしてた子も居るみたいだけど、あなたまでそんな子達と一緒に居る事無い。って言われちゃった……母さんは知らないんだよ。それ私の事なのに……」
「明日奈……」
机の上に置いた手に、美幸の手が柔らかく触れた。伝わってくる優しい暖かさに勇気をもらえるような気がして、微笑みながら明日奈は言った。

「大丈夫。剣士だった事は、絶対後悔してないから。あの世界でああやって生きてたから、キリト君や、リョウにサチ……みんなと会えたんだもん。後悔するはずないよ」
「…………」
何も言わずに、美幸もまた微笑んだ。その小さな笑顔が、スルスルと明日奈の内側から本音を引き出して行く。

「でも……私、まだ母さんには適わないんだ……母さんに、胸を張って私が歩きたい道を言いたい……今の私の言葉じゃ、母さんには届かなくて……ホント、どうしたらいいんだろ……」
「…………」
溜息交じりに、そんな事を言っていく、と、不意にアスナは「あ、」と声をあげて苦笑しながら言った。

「あ、えっと、ごめん私愚痴愚痴言って……」
「ううん。そう言う事、溜めこんでるより吐きだした方がいいと思うから、私は全然平気だよ?」
微笑みながら言う彼女に、何となく頬を掻いて小さく笑う。

「でも、私じゃあんまり良いアドバイスとか出来ないかも……ごめんね?」
「ううん。こっちこそ、聞いてもらってるだけでホントに楽になれるもん。……そういえば、サチはあんまりお母さんと揉めたりしないの?」
「え?私は……」
不意に問われた事でか、人差し指を顎に当てて美幸は少し考える仕草を見せる。しかしやがて首を横に振ると、小さく笑って言った。

「あんまりない……かな。時々どっちか怒る時もあるけど、SAOから帰って来てからは特に少ないよ」
「うぅ……良いなぁ」
私もそんな風に親とうまくやれたら……そんな風に思ってうなだれると、

「あはは……私の家は、お父さん居ないから。偶に喧嘩すると喧嘩相手と二人きりになっちゃって大変だよ?」
「ウチは何時も喧嘩してるような感じだもん……」
「あ、あはは……」
うなだれながら言う明日奈に、美幸は苦笑してもう一口飲み物を飲む。それに習うように明日奈も飲み物を口に含みながら、彼女はチラリと美幸の顔を見た。美幸と、涼人、詩乃の三人からなる東北出身組は、皆少し特殊な家庭環境を抱えている。

まず、三人とも父親が居ない家に住んでいる。詩乃は死別。美幸と涼人は両親が離婚しているからだ。ちなみに、美幸の父親や今は再婚して大阪に。涼人の父親に至っては、そもそも何処にいるのか涼人自身もよく知らないらしい。
教育費などの金銭類は美幸
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