第三十一話 初春さんと白井さんの仲
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「はぁ、そうだったんですか」
固法さんの説明が終わると佐天さんがため息をつく。
「ところで、当の白井さんは?」
「元々今日は非番だったから、今は多分寮に居るんじゃないかしら」
俺が少し気になっていたことを尋ねるとすぐに固法さんが答えてくれた。初春さんと不仲になっていなければ、多分白井さんが非番なのもいとわず率先して犯人探しをしているのだろうが、今は恐らく寮のベッドの上で唸ってて御坂さんから「うっさいわね!」とか「あーもう、鬱陶しい!」とか言われているのだろう。
「だったら、初春さんは今、車上荒らしの犯人探しで忙しいってことですか?」
「まあ、そんなところね」
一応確認で固法さんに聞いてみるが、初春さんは車上荒らしの犯人を捕まえるために頑張っているようだ。
「じゃー、ちょっと手伝ってきます」
「それなら私もー」
「あ、ちょっと!」
俺が手伝いを宣言すると佐天さんもそれに乗ったので、固法さんが止めに入る。
「ジャッジメントの仕事は遊びじゃないのよ」
「わかってますって。常盤台生徒連続襲撃事件の時だって、私も神代さんも協力してたんですから」
固法さんの言葉に佐天さんが常盤台狩りの眉毛女の事件を挙げて言い返す。
「常盤台のって、あの事件は学舎の園で起きたんだから神代さんは入れないでしょう」
「だから神代君じゃなくて神代さんって言ったんですよ」
学舎の園に男性は当然入れないので固法さんが訝しげに言ってくるが、佐天さんもそれに負けず更に反論している。しかし、固法さんのほうは頭の上にクエスチョンマークが浮いていそうな表情で固まっていた。ジャッジメントであれば知っていてもおかしくはないと思っていたのだが、神代という名前で気づかないということは知らないのだろう。
「あれ、知りませんか? 雌雄同体って」
「え? まさか、あの?」
研究者をはじめとして、常盤台や長点上機、そして霧ヶ丘辺りでは有名になっているはずの呼び名を出してみると、その情報は持っていたらしく固法さんも理解できたようだ。なお、柵川では雌雄同体などという呼び名は定着していない。
「ええ、実際には雌雄同体じゃなくて男女を使い分けられるっていう感じなんですけどね」
流石に俺のことを雌雄同体で覚えられるのは嫌なので、ここはちゃんと訂正も入れておく。
「それで学舎の園に居たの?」
「はい。当然ながら女のほうで」
「そうだったのね。どうりで神代って名前に聞き覚えがあったはずね。分かったわ、今回は特別よ」
「はい、ありがとうございます」
ようやくお許しが出たので初春さんの手伝いに向かう。とはいえ、佐天さんがスカートをめくっても気付かな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ