第3章
月光校庭のエクスカリバー
第66話 またまた交渉します!
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「それに俺だけじゃねえ!部長だって悲しむぞ!良いのかそれで!」
「……ッ…リアス部長…そう、あの人と出会ったのは聖剣計画が切っ掛けだった…」
そこから木場の口から、当時の思いと記憶が語られる。
それは当人の口から出た事のせいか、部長から聞いた以上に残酷な話だった。
剣に関する才能と聖剣への適性を見出されて集められた子供たちが来る日も来る日も辛い実験の毎日で、自由はおろか人間としてさえ扱われず、それでも誰もが神に選ばれた者だと信じ、いつか聖剣を使える特別な存在になれると希望をもって耐えた。
「……でも、誰一人として聖剣に適応できなかった。実験は失敗したんだ…」
計画の失敗を悟った責任者は計画の全てを隠匿する為に処分を実行した。
「……血反吐を吐きながら…床でもがき苦しみながら…それでも僕達は神に救いを求めた…」
が、結局救いは無く、それどころか神の信徒に殺された。
そんな中、同士達が必死の抵抗を行い、木場だけを研究施設から逃げ出させる事ができた。
「……逃げるんだ!…」
「せめて貴方だけでも!」
だが、毒ガスによって木場の命は、もう長くはなかった。
それでも追っ手から必死に逃げていたが、結局限界が来て倒れる。
そして、倒れても尚、強烈な無念と復讐の念を抱えたまま生きあがこうとしていた木場を救ったのが当時の部長だった。
「どうせ死ぬのなら、私が拾ってあげる。私の為に生きなさい」
そして、木場は悪魔になり、現在に至る。
「眷属として僕を迎え入れてくれた部長には心から感謝しているよ。でも、僕は同士達のお陰であそこから逃げ出せた。だからこそ、彼らの恨みを魔剣に込めて、エクスカリバーを破壊しなくちゃならない。これは一人だけ生き延びた僕の唯一の贖罪であり、義務なんだ…」
……改めて聞くと、残酷な話であり、木場の覚悟が伺える話だった。
……ただ、これは俺の勝手な推測なんだが、同士達はそんな事をさせる為に木場を逃がしたとは到底思えなかった。
おそらく同士達は…。
「うぉぉぉぉッ!!!!」
思案している俺をよそに匙が男泣きしていた。
「木場!お前にそんな辛い過去があったなんて!こうなったら会長のお仕置きがなんだッ!!兵藤!俺も全面的に協力させてもらうぜッ!!」
さっきまであんなにぼやいていたり、ビクビクしていたとは
思えないほどやる気と気迫に満ちていた。
「そ、そうかぁ…サンキュー…」
イッセーも呆気に取られていた。
なんやかんやでこう言う事は方っておけない性格なのかもな。
すると塔城が木場の服の裾を引っ張っていた。
「?」
「……私もお手伝いします」
「小猫ちゃん?」
「……祐斗先輩がいなくなるのは寂しいです」
本当に寂しそうに瞳を潤ませながら言う。
普段、無表情だが、芯は仲間思いな奴だよな、塔城って
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