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蛭子
第一章
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「蔵を」
 それを聞くとかなり羽振りのいい家であったことがわかる。
「飛騨でも有名な家だったそうです。そこの家でのお話なんです」
「はい」
「御聞きしたいですか」
 こう言われても今更引くわけにはいかなかった。私の好奇心がそれを許さなかった。
「はい」
 私は頷いた。
「是非共教えて下さい」
「そこまで仰るというのなら」
 どうも御自身から出されたお話だがやはり躊躇うものがあったらしい。一度は引っ込めようとしたのがその証であった。だが私に言われて話す決心をしてくれたのであった。だが今考えるとこれが正しいことであったかどうか疑問である。この話はそれ程深いものであったからだ。
「その蔵の一つのお話です」
「はい」
 私は酒を飲む手を止めた。見れば老人もであった。それまでの温和な顔が消えていた。こうして話ははじまったのであった。

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