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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第二章  曇天の霹靂
EX.1 崩れゆく決意
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ちにひとつの結論をもたらした。
 SAO虜囚者=遅かれ早かれ死ぬ。
 つまり、東雲をSAOに誘った俺は――――《人殺し》。

 それを聞いて俺自身も、少し納得してしまった。
 このまま本当に東雲が――だったら、確かに俺は人殺しになってしまうのだろう。
 仕方のないことだろうけど、しかし既に周りは俺のことをそう見ていた。
 突き刺さる陰口。
 間接的で遠回しな嫌がらせ。

 ――苦しい。辛い。

 いやだ。此処にいるのが凄くいやだ。
 だから、俺は一生懸命に勉強した。
 猶予はたった一ヶ月ほどしかないけど、それでもやらずにはいられない。

 ――俺のことを知らない学校に…………行きたい。

 そして俺は、隣の県の高校へと入学した。











 入学式の翌日。
 俺は高校一年として指定された教室へと入った。
 元居た中学とは県を跨いだ所にある大きな高校だ。
 偏差値も高く、俺が受かったことは奇跡に近かった。
 それに、このぐらいレベルの高い高校に行けば、頭の出来の悪い不良なんて居ないと思った。
 何より、此処に俺を知っている者は居ない。
 同じ中学の人間が居ないとも限らないけど、それでも俺のことを知っている奴なんて居ないと思う。

 ――わかってる。

 これは、《逃げ》だ。
 俺は、俺に向けられた視線に耐え切れず逃げ出したんだ。
 あの《犯罪者を見るような視線》に。
 こんなんじゃ、東雲の■■に相応しい人間になるなんて、夢のまた夢だ。
 くそっ。
 最近、自己嫌悪してばっかりだ。
 辛い。辛い。辛い。
 このままじゃ発狂しそうだ。
 せっかく俺のことを誰も知らないだろう場所に来たんだ。
 心機一転で、今度こそ自分を鍛え直す!

 ……そう、都合の良いことを考えていた俺に罰が当たったんだろう。




『……ねぇ? ……あの男子……』




 教室の端で、二人の女子の話声が俺の耳に届いた。

『うん……噂の《人殺し》……でしょ……』
「ッッ!!?」

 なんで、それを?
 どうして、この場所で?
 俺は逃げられないのか? 逃げることは許されないのか?
 また中学の頃のような状況(じごく)を三年間味わうのか?

 ――嗚呼、東雲。

 ごめん。ごめんよ。
 お前に会わせる顔がないよ。
 もう俺は――――心が、挫けてしまいそうだ……っ。
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