SAO編
第二章 曇天の霹靂
EX.1 崩れゆく決意
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一言も言えなかったが……。
東雲がSAOに囚われ、何か月も経ってしまった。
俺たちは中学三年生だ。つまり、一月からは受験が控えていた。
大事な三年生の夏――八月までSAOのベータテストをやっていた俺だ。正式サービス開始の十一月まで当然勉強などしてるはずもなかった。
そして十一月中は東雲の件でショックを受けたこともあり、勉強なんて手もつかなかった。
だけど、十二月からはとある理由もあり、かなり必死に勉強をしていた。
その理由というのは。
東雲が入院している病院に通うようになって数日。
たったその数日で、俺を取り巻く環境はじわじわと変わっていったんだ。
『……ねぇねぇ…………あいつでしょ……?』
『そうそう……あの噂……マジらしいよ……』
『……うっそー……』
教室に入った俺に刺さる好奇の視線。
最初、俺はその視線の意味は解らなかったのだが。
『……友達を…………殺したらしいぜ……?』
「!?」
ボソッと呟いたクラスメイトの言葉で、その意味を知った。
どこでそのことを知ったのだろうか。
どうやら、俺が東雲をSAOに誘ったこと。東雲が今日本中が対応に追われているSAO事件に巻き込まれて今も病院のベッドから目覚めないこと。そして、俺だけがSAOに囚われなかったことが広まっているらしい。
そして噂は歪曲して――《二木健太が東雲蓮夜を殺した》ということになってしまった。
SAOについての情報は既に日本中に出回っている。
天才、茅場明彦が創り出したデスゲームシステムのプロテクトは、どんな人間にも解除することが出来なかった。
無理に解除しようとして更に被害者が増えたことで、政府は被害者の生命維持に力を入れる方針をとった。
SAOから解放される条件は一つ、それはSAO虜囚者となった被害者たちが、仮想世界でSAOをクリアするしかない。
この程度の情報は国民ならだれでも知っている。
既に千人近く亡くなっていることと――――完全攻略なんてとても無理だということが。
SAOのベータテスターで、正式サービス時にログインしていなかった者も多くいる。
そんな彼らがネット上で呟いた一言すら、テレビで何度も流れた。
『死に戻り不可で百層攻略 なにそれ超無理ゲー』
経験者が語ったベータテスト。何度も何度も死んで、一カ月で第六層まで。
俺もその苦労は文字通り死ぬほど体感している。
――無理だ。
それはほぼ国民全員の共通認識になった。
遠からず、遅からず、SAO虜囚者全員が死ぬだろう、と。
俺もそれに、強く反論は出来なかった。
そしてこの情報は、クラスメイトた
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