第一話 羽瀬川小鷹と三日月夜空
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“蹴り破った”
ガッシャーン??と、まるでハリウッド映画のように、アクションスターのように、そして、ヒーローのように。
クラス中の視線が小鷹に集まる。好奇心や興味ではない。ただただ恐怖の色しかない視線。小鷹はそれらに対しなにもしなかった。いや、疲れすぎてなにもできなかったが、正しいだろう。その悪魔的なまでに悪い目つきでそちらを見ることしか。
サッ!
クラス中の視線が離れた。おそらく彼らには不良が「ああん?なに見てんだよ?」と睨んでくるようにみえたのだろう。だが小鷹にはそんな気は全くない。皆無と言ってもいい。まあ、彼女にとってはそんなこと日常茶飯事なのだが。
さて、この段階で小鷹の自己紹介してみんなの誤解を解こう計画はすでに実行不可能になっている。
「て、転校生の羽瀬川小鷹です。」
最後のですが、Deathに聞こえてしまったことなど、当然小鷹は知らない。
◎◎◎◎◎◎◎◎◎
「かっ、はっはっはっはっ??」
放課後の談話室4で夜空は馬鹿みたいに笑う。理由は今日来た転校生だ。
くすんだ金髪。悪魔的に悪い目つき。そして、化け物並の怪力。間違いない。あいつだ。
「おかえり…ヒーロー…」
たった一人の部屋で、たった一人。友達のいない非リア充の少年はポツリと呟いた。
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