第1部
第1章
別れの始まり
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つまでも続けられるわけがないもの。」
「分かっている…………………分かっているんだ。だけど、それでも、あいつらを施設に送るなんて。まだ13歳なんだぞ? ロストがなんだ! あの子が何をしたって言うんだ? こんな状況でも強く生きてる俺たちの誇り、宝じゃないか? それを施設に送るなんて出来る訳が………… 」
「そんなの私だって分かってるわよ…………… 分かってるわよ。けどもうそんな強がってなんていられない。このままじゃ、私たちもあの子たちも不幸なままで何も変えられないわ。」
偶然、夜中に起きた時こんな会話を聞いてしまった。聞いてはいけない会話だったのだろう、けれどもその場から動けなかった。両親だけは、どんな状況になっても自分たちを守ってくれる、ずっと自分たちを守り続けてくれるそんな安心が失われたことがショックだったのかもしれない。絶対なんて、永遠なんてあるわけがなく、終わりや限界がいつか来ると知っていながらも、両親の優しさに甘えていた自分に気づき、動揺したからかもしれない。突然に突きつけられた現実に、ただただ呆然とするしかなく、気づいた時には、部屋に戻り、座り込んでいた。
それから数日と経たずに、父親が俺たちに出かけようと声をかけてきた。
「お兄ちゃん、これからどこへ行くのかなぁ? 久しぶりのお出かけなのにお母さんは行かないのかな?」
母親がついて行かないことに少し不安そうな顔をしながらも、あどけない表情で見てくる妹。正直なところ行き先は、ある程度予想できていた。俺たちは施設に送られる。けれど、そんなの言えなかった。認めたくなかっただけなのかもしれない。だから、何も知らないであろう妹に返す気の利いた言葉が見つからなかった。
「さぁな、どこ行くんだろうな。 久しぶりに楽しいところに行くのかもな」
そう言って、おどけて笑いかけるのが精一杯だった。
ーーーーーーかなり長い時間、車に揺られていたと思う。山奥の道を進んだ先に厳重な門たたずんでいた。ようやく着いたのかと思ったが、門をこえた後もかなり広い敷地が広がっていた。そのまま道なりに進んでいくと白くそびえる大きな建物の姿が目に入った。
「わぁぁぁぁっ! すっごい大きい建物だね! ねぇねぇ何の建物かな? 遊園地かな? すごいね!」
少し幼さの抜き切れない妹は、建物の大きさに興奮しながら、つれない態度の兄の肩を揺さぶった。
「関心なさすぎでしょ! せっかくのお出かけなのに、楽しまないなんて損だよ!」
あまりのつれなさに少し不機嫌になったのか、顔を膨らましながら、そっぽを向いてしまった。
着いた場所はやはり、想像通りの場所だった。ついにこの日が来たのか、そう思うと何故だか肩の力が抜けて行くのを感じた。両親を責める
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