魔石の時代
第一章
始まりの夜1
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る。
「本当に?」
「本当だってば!」
「……ならいいんだが」
やれやれ。そう言わんばかりに、光は肩をすくめる。
「まぁいい。それじゃ行こうか。少し急がないと待たせる事になる」
「うん。そうだね」
頷き、光の手を握るとそっと握り返してくれる。
「いってきます!」
それは、いつも通りの朝だった。
3
「お待たせ! 二人ともおはよう!」
光と二人で、少しだけ急いで通学路を走る。そして、いつもの曲がり角を曲がると、そこには大切な友達がいた。少しだけ弾んだ息と共に、二人に挨拶をする。
「もう、遅いわよ。なのは」
綺麗な金髪の少女――アリサが、腰に手を当てて言う。
「なのはちゃん、おはよう」
清楚で優しそうな少女――すずかが、笑った。
「悪いな、二人とも。ウチの妹は今、寝る子は育つを実践中なんだ」
二人に返事をしようと息を整えていると、全く息切れなどしていない光がそんな事を言った。
「もう! だから太ってないって言ってるの!」
「誰もそんな事は言っていないだろ?」
しれっとした顔で光は言う。
「顔に書いてあるの!」
「何? それはまずいな。ちゃんと顔は洗ったはずだが……」
光はあっさりとそんな事を言う。それどころか、ぺたぺたと自分の顔を撫でながら、どの辺りに書いてあるのかなどと、すずかに訊ねている。
「も〜! いいもん! 私ダイエットするから! 晩ご飯いらないんだから!」
「それは残念だな。美味しそうに食べてくれるなのはを見るのが好きなのに」
「う〜…。本当に?」
「ああ」
「……なら、やっぱりいる」
お母さんの料理も美味しいけど、光の作るご飯も好きなのだ。食べないなんて、やっぱ
りもったいない。体重は……まだきっと大丈夫だ。
「本っっっ当に仲がいいわね、アンタ達は」
アリサが呆れたように言った。
「そうか? 兄妹ならこれくらい普通だろ」
「普通じゃないわよ! なのはってばこの前、『結婚するなら光お兄ちゃんみたいな人がいいなぁ』なんて言ってたわよ? 普通は精々お父さんとかでしょ!」
「な、何で言うの〜!?」
慌ててアリサの口をふさごうとする。けど、避けられた。確かに言ったけれども。
「それはまずいな。なのは、お前はもっと男を見る目を養わないと」
アリサと追いかけっこをしていると、光が呟くのが聞こえた。彼は時々こういう事――私達から距離を取るような事を言う。多分、お店を手伝わないのも同じ理由なのだろう。
それが何なのか、私には分からないけれど。
「まぁまぁ。二人ともそれくらいで、ね。早く行かないと学校に遅刻しちゃうよ?」
すずかの言葉に、アリサと二人では〜い、と返事を返す。確かに、そろそろ歩きださな
いと学校に間に合わない。
「そう言えば、光
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ