魔石の時代
第一章
始まりの夜1
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した。ともあれ、それが新たな相棒との……新たな名前と、この世界での生き方を教えてくれた『母』との出会いだった。
最後に、彼女によって与えられた新しい名前を記しておこう。
御神光。何とも皮肉の利いたその名前が、新たな自分の名前だった。
2
「そら、起きろ。朝だぞ、なのは」
「んにゅう……」
ぺちぺちと、誰かが頬を叩く。あまり痛くはない。けど、眠る事も出来ない。
「起きろって。進級早々に遅刻するぞ」
むにょ〜ん。誰かが頬を引っ張る。乱暴じゃないけど、痛い。
けど、やっぱり眠い。もぞもぞと布団を手繰り寄せる。
「ふむ。これは仕方がない。朝飯は抜きだな」
「起きる! 起きたの!」
がばっと布団を跳ね上げると、小さなため息が聞こえてきた。
「お前は本当に、相変わらず食欲の化身だな」
「そんなことないもん!」
ベッドの縁に座る兄――光に食ってかかる。というか、勢い余って抱きつくような格好になった。
「重くなったな。太ったか?」
「大きくなったの!」
「横に?」
「ちが〜う!」
むぅ、と頬を膨らませて睨むと、ほら、やっぱり太ったと言って頬を突かれた。
「もう、違うんだってば!」
言って、布団を被ろうとする。と、その直前で軽々と抱き上げられた。いわゆるお姫様だっこという状態で。これが初めてではないが、やっぱり恥ずかしい。でも、やっぱり安心する。昔から、よくこうしてもらっていたから。
「やっぱり重くなったかな……」
言いながらも、少しもふらつくことなく歩き出す。私と大して身長は変わらないはずなのに。少しくらい暴れても、光は全く気にしない。私と三つしか違わないはずなのに。
「ほら、ここから先は自分で行けよ。俺はあのチャンバラ馬鹿どもを呼んでくる」
結局、今日も洗面所の近くで下された。チャンバラ馬鹿と言うのは、もう一人の兄――我が家の長男である恭也の事だ。どもという事であれば、姉の美由紀も含まれている。
あの二人は父の実家に伝わる剣術を習っている。今日も朝から訓練しているのだろう。参加していないのは、私と母、そして光だけだ。とはいえ、
「光お兄ちゃんだって変わらないと思うの」
光は時々、恭也に道場に連れて行かれる事がある。それに、夜にこっそり練習しているのも知っていた。お父さんも引退したとはいえ、時々教えに行っている。
そう考えると、参加しないのはお母さんと私だけだと言うべきなのかもしれない。
「あ、そうだ」
ちなみに、私が参加しない理由はとても簡単で。
「寝ぼけて転ぶなよ?」
「転ばないよ!」
私はとても運動が苦手だからだった。
……――
「おはよう、なのは」
「あら、おはよう。なのは」
「お父さん、お母さん。おはよう」
簡単に身支
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