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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜1
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、突如として襲撃を受けた。別段問題はない。慣れた事だった……ように思える。
 あえて問題点を挙げろと言うのであれば、この世界ではまだ恨みを買った覚えはないという事くらいなものだ。
「あの爆発を生き延びるとはしぶといガキだ」
 どうやらこの襲撃者どもが、あの惨劇を生み出した連中らしい。こんな子どもまで殺そうとするなど、どうやら相当に業の深い一族だったのだろう。
 もっとも、業の深さはお互い様だ。魔法使いがいないとはいえ、相手は明らかに人を殺し慣れている。つまりは同類。それなら、今さら遠慮は不要だ。こちらも、黙って殺されてやる義理は無い。それに、右腕が……この器が疼く。
 殺された無念は、晴らさなければならない。
 ……それが、名前も知らない誰かへのせめてもの手向けだ。
「死ね」
 安っぽい言葉と共に襲ってくるそいつらに向かって右手を突きつける。 
 次の瞬間には魔力を宿した己の血が相手の頭を貫き、脳漿をぶちまけた。
 血魔法。己の血を供物とする魔法。魔法使いにとって初歩であり、懐刀だ。が、威力はさほど高くはなく、使い続ければいずれ血を失い命を落とす。
 懐刀以上の物にはならない。それが普通だった。ただし、
 自分のそれは特別製だった。それは身体が覚えている。
 何故そうなったのかは覚えていないが、それでも身体が覚えている。実際に威力は申し分ない。一通り襲撃者を始末してから、それを確信した。もっとも、器が小さい分、今までのようには使えそうにないが。……いや、『自分』にとってそんな事は全く関係ないはずだ。例えどれだけ血を失ったとしても――まだ何か重要な事を忘れている。そこから先が思い出せない。思い出すべきではないのかもしれないが。
「貴様、何者だ?」
 新たな襲撃者の登場に、自分は眩暈を覚えていた。最悪な事に……どうやら、血を失いすぎたらしい。
 ……――
 結論から言えば、それは……その女は襲撃者ではなかった。むしろ、自分を襲った襲撃者を探し、殺しまわっているらしい。理由を聞いたところ、彼女自身もあの惨劇の生き残りだという。つまりは仇討ちという事なのだろう。
 それなら、もう少し早く来てくれれば良かっただろうに。それが偽らざる本音だった。だが、何であれこれは幸運だった。血の匂いのする彼女についていけば、いずれ相棒にも出会えるだろう。自分の力も、彼女が目的を達成するには有益なはずだ。
 提案すると、外見が外見だけに――何せ今や一〇歳になるかどうか程度だ――彼女はいくらか躊躇ったらしい。
 だが、今さらそれを気にするだけ馬鹿げている。たった今自分が生み出した惨状を示して告げた。それでも、彼女は躊躇ったようだったが。
「私は御神美沙斗。お前は?」
 さぁな。名前など忘れてしまった――正直に答えると、美沙斗は不満そうに鼻を鳴ら
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