4部分:第四章
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矢吹が伊達に電話を手に声をかけていた。
「岩崎先生から電話だ」
「あれ、こんなに早くかよ」
「そうだ。出ろ」
「わかった。はい、先生」
伊達はすぐに電話に出る。それからやり取りに入る。
「あっ、もうあがったんですか。わかりました」
描き終えたという言葉に顔を綻ばさせていた。
「じゃあファックスでお願いします。いつも通り」
「よお」
巴が編集部に来た。かなりくたびれた様子であった。
「原田先生やっと捕まえたよ」
「やっとかよ」
「ああ、中々いなくてな」
うんざりした顔で言う。
「あちこち探してやっとな」
「あの先生隠れるの上手いからな」
仲間達は彼の言葉を聞いて笑いながら声をかける。
「忍者みてえにな」
「全く。忍者になるのは漫画だけにして欲しいよ」
彼が今担当している忍者ギャグ漫画だ。中々人気がある。
「それでカンヅメにしてきたよ。今から描かせるさ」
「見張りは?」
「おっと」
左門の突っ込みに慌てて顔をあげる。
「そうだ。鍵もまだ」
「大丈夫だ、僕がそれはしておいたよ」
しかしここで大河が言ってきた。
「だから安心し給え」
「悪いな」
「御礼はワインでいい」
大河は笑ってこう返す。
「今度佐藤先生と一緒に飲む為にな」
ラブコメ漫画の若きエースだ。なお男である。
「頼んだぞ」
「ああ、わかったよ」
左門も気さくにそれに応じる。
「ワインだな。ブランドは何がいい?」
「ランブルスコがいい」
優雅に笑みを浮かべて述べてきた。
「ワインはあれに限る」
「何だ、またそれか」
左門はランブルスコと聞いて苦笑いを彼に見せた。どうも大河はいつもこれのようだ。イタリアのワインで発泡性の甘口のワインである。赤と白、ロゼ、それぞれある。非常に飲み易い。
「好きだな、本当に」
「フランスよりイタリアだ」
これは大河の好みである。
「飲むならそれだな」
「わかったよ。じゃあな」
「ああ」
いつものやり取りだった。会議の時はともかく普段は和気藹々とした感じであった。峰崎もそれを見ながら彼の仕事を進めていたのであった。
暫く仕事をしていくと編集部の眉月が声をかけてきた。彼は読者コーナーの担当で人当たりのいい男である。
「編集長」
「何だ?」
「実は持ち込みなのですが」
「ほう」
峰崎はその言葉に顔を上げてきた。
「何か暫くぶりだな」
そういえばここ暫くはなかったと気付いた。最近はネットでの発表が多くそこをチェックして有望株を探したり密かに同人誌を探したりしているのだ。そうして新人を探しているのである。
「どうされますか?」
「誰か暇なのはいるか?」
「私が」
眉月が申し出てきた。
「駄目でしょうか」
「いや、君は今は駄目だろ
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