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漫画無頼
2部分:第二章
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多くの作品がある」
「あなたとしてはどうなの?」
 美恵子はまた夫に問うた。
「どんなものが漫画だと思うのかしら」
「それがわからなくなってきているんだ」
 腕を組んで首を回してきた。
「どういったものが漫画か。どんな漫画化一番いいのか」
「見えなくなってきたのかしら」
「いや、見えなくなったんじゃない」
 妻のその言葉は否定した。
「見えなくなったんじゃなくてな」
「ええ」
「最初から見えてはいなかったんだ」
「見えていなかった」
「そうだった」
 苦く沈んだ顔で頷いてきた。
「そのことに気付いた。今の俺はそんなところだな」
「それで悩んでいるのね。気付いて」
「そういうことだ。こうして見てみても」
 また雑誌に目をやった。本当に色々ある。十冊はあるがそのどれもが違う。普通の週刊雑誌もあれば月刊もあるし四コマもある。怪奇もの専門もあれば子供向けもレディコミも少女漫画もある。どれもが全て違っているのだ。
 中にある漫画一つ一つもだ。漫画というものはこんなにも色々あるものかとざっと並べた雑誌を見ただけでも思うのであった。
「あまりにも一杯あるな」
「そうね」
「だからなんだ。漫画って何なのかって思ってな」
「あなたの部下の人達はどうなの?」
 美恵子は彼の下の編集員達のことを尋ねてきた。
「どう考えてどう思っているのかしら」
「皆が皆言っていることが違うな」
 ありのままを述べてきた。
「あいつ等は自分の信じている漫画道を突き進んでいる。それだけだ」
「そうなの」
「だから余計に考えてしまうんだ」
 そのうえでまた述べてきた。
「漫画って何かってな。ジャンルだけじゃなくて」 
 彼の部下達はまだジャンルに捉われている。しかし彼は他のものに気付いてそれを見ようとしているのである。だからこそ悩んでいるのだ。
「絵の上手さとかじゃないわよね。ストーリーとか」
「それもな」
 違うと言う。
「どちらが光る漫画家さんもいれば両方の人だっている。アイディアが凄い人だっている」
「それもそれぞれなのね」
「百人いれば百人の漫画家さんと読者の人達がいるんだ」
 真摯な言葉で語る。
「けれどそれでも漫画って何だおるかって思ってしまうんだ」
「面白くて売れるもの」
「それでもない」
 商業主義も大事だがそれだけでもない、それが峰岸の考えだ。
「雑誌が成り立つ為には売れないと仕方ないさ、確かにな」
「ええ、それはね」
「面白くないと駄目だ。ニーズがある」
 編集長としてそれはわかっている。しかし彼が見ているのはそれでもないのだ。
「それでも。まだ」
「それだけじゃないの?」
「面白いのは絶対条件だ」
 まずはこう前提を置く。これは簡単に言っているが確かである。まず読んでみて面白
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