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魔法少女まどか☆マギカ 〜If it were not for QB〜
参話 幸せ
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きてもらう演奏だ。

 「……何だか、凄いですね」
 「この曲はね、僕がヴァイオリンを始めるきっかけになった曲なんだ。この曲が弾いてみたくて、音楽の世界に入ったんだ」
 「良いと、思います……そういうの」

 ほむらが静かにつぶやくように言う。力強い含みが確かにそこにあった。

 「私は、特に何か目標があるわけでも無いですから……」
 「ほむらちゃんだって何かやればいいよ。きっと何か他の人より凄いことができるはずだって」
 「そんなっ、私なんて……鹿目さんの方がずっと……」
 「まあまあ、そんな所で言い争ってないでさ。恭介、そろそろうちら帰るね」
 「うん……二人とも、さやかを宜しくお願いします」
 「ははっ!!!!!」
 「ふふふっ……!!」
 「あのな〜……」

 笑う二人と呆れるさやかを見て、上条恭介は自然と頬を弛ませるのだった。すると……

 「あれ、あの子……」
 「知ってる子?」
 「あ、うん……最近近くの病室に入院してきた子なんだ。小児ガンらしくてね、以前チーズケーキを持っていったら看護師さんに怒られたよ。チーズは大好きなのに、病気のせいで食べられないらしくて……」

 まどかもちらりと見た。お菓子の国のようなファンシーなパジャマを来た小さな女の子だ。ずっとこちらを見ていたのだろうが、自分たちの視線に気づいて逃げ出したのだろ……

 がたっと言う音が廊下でした。急いで逃げ出したから転んだのだろうか。だとしたらまずい、ガンの女の子なのに。

 「ちょっと行って来r……だ、大丈夫!!?」
 「……っ」

 女の子は頭の先から胸のあたりまでのサイズの人形を持っていた。それがクッションになって助かったらしい。

 だが、まどかはその人形のフォルムを見て絶句した。しかし、冷静に頭を働かせてみればそれは安堵に変わる。

 その人形はいつかの世界で巴マミを喰い殺した魔女にそっくりだったのだ。それが何を意味するかまどかだけは知っている。

 「そっか、あの子も世界を絶望せずに済んだんだね……」

 キュゥべえが存在していた頃の世界で、彼女が何を願い魔法少女になったかは分からない。もしかしたら病気を治してほしかったのかもしれないし、前の世界では病気でも何でもなかったのかもしれないが、それでも彼女が絶望する未来を絶つことが出来たのだ。

 魔女になって他人を殺す人生を歩むよりは今の方が良いに違いない、勝手な偽善のようだったが、まどかは自分の願いが世界の為であると強く信じていた。
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