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万華鏡
第七十七話 迫るバレンタインその一
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               第七十七話  迫るバレンタイン
 節分は終わった、だが。
 二月ははじまったばかりだった、節分というイベントの一つが終わっただけだ。琴乃はクラスでクラスメイト達と二月の次のイベントの話をしていた、その話はというと。
「バレンタインね」
「そう、いよいよよ」
「この時が来たわよ」
「ホワイトデーの前の種撒きがね」
 一人本音を言っていた。
「ここで気合を入れてチョコレートあげてね」
「お返しね」
「それ狙いなのね」
「そう、マシュマロとかキャンデーじゃなくて」
 その娘は周りの突っ込みにホワイトデーの定番では、と返すのだった。
「もっとよ」
「もっといいものね」
「贅沢なものね」
「そうじゃないとね」
 こう言うのだった。
「その為の種撒きよ」
「その為にもなのね」
「バレンタインは気合を入れていく」
「そういうことね」
「そう、頑張るから」
 燃える目での言葉だった。
「女の子の計はバレンタインにありよ」
「元旦じゃなくて、なのね」
「バレンタインなのね」
「そうよ、流石にゴディバとはいかないけれど」
 有名な高級チョコレートである、言うまでもなく高い。
「気合入れて高いものかね」
「手作りね」
「それね」
「手作りだとかえって安くつくのよね」
 実はそうなのだ、このことはチョコレートだけに限らない。
「業務用のを大量に買ってね」
「それで一気に手作り」
「それよね」
「生活の知恵ってやつね」
「それでいけばね」
「安くつくからね」
 ここでその娘はクラスの中、その中にいる男連中を見回した。そうしてこんなことも言ったのだった。
「これだけ男の子の数がいても」
「業務用で一杯買って」
「それで手作りにすれば」
「お金はかからないのよね」
「そうすれば」
「そうよ、このこと天理教の人に教えてもらったのよ」
 このかけ替えのない生活の知恵を、というのだ。
「業務用のお店でまとめて買ってね」
「後は、よね」
「自分で作るのよね」
「天理教の、八条分教会ね」
 八条学園がある八条町にある天理教の教会だ。かなり大きな教会である。
「あそこの奥さんからね」
「教えてもらったのね」
「あの人に」
「そうなの、ものを安く沢山買うコツってね」
 そうしたやり方があると教えてもらったというのだ。
「いや、勉強になるわ」
「何か天理教の人ってそうした生活の知恵よく知ってるわよね」
「そういえばそうよね」
「特に奥さんが」
「何かとね」
「天理教って女の人が強いらしいのよ」
 その発言力が、というのだ。
「それでなのよ」
「奥さんが強いのね、天理教って」
「あそこの宗教は」
「そうみたい、それであの人に教えてもらったのよ
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