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漫画無頼
1部分:第一章
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する。
「それこそが漫画だ。御前等それがわかっていない」
「わかっていないのは君だよ」
 大河は彼の力説を一蹴した。
「何だよ、そんなの漫画じゃない」
「全くだ」
 左門もこれには同意して頷く。
「御前の漫画は強さのインフレーションだ。そんなのが何になるんだ」
「人は強くなっていくものだ」
 伊達も真っ向からそれを主張する。
「無限に強くなっていくもの、身体も心も」
「身体だけだな」
 左門はそう言い返す。
「御前の言う漫画ってのはそれだけだろ。だから駄目なんだよ」
「俺の何処が駄目なんだ」
「全然駄目だ」
 また参戦者が現われた。巴という。彼はお笑い好きでギャグ漫画が好きだ。ギャグ漫画ではなくても所々にお笑いを入れてはどうかと漫画家にいつもアドバイスする。その為彼はコメディーの名プロデューサーと言われている。
「漫画ってのは楽しくないと駄目だろ。君等はそれがわかってないんだよ」
「どっちがわかっていないんだ」
 伊達はムキになって巴に言い返す。
「御前の漫画はお安い笑いだけだ。子供騙しだ」
「子供に笑って貰えるのが漫画だ」
 彼は学習雑誌にいた。その為子供の目線を考えているのだ。
「子供が何を見抜いて何を捉えるのかが大事なんだ。そんなこともわからないのか」
「子供に友情と努力の大切さを知ってもらう」
「心の動きの素晴らしさを知ってもらう」
 左門と大河はそれぞれ主張する。
「そういうことだ」
「違うのか」
「御前等はまっすぐなだけじゃねえかよ」
 またしても参戦者だ。悪い感じの男矢吹である。彼は不良漫画が十八番だ。しかし彼の不良漫画は美学があるとされている。アウトローの美学を漫画家と共に目指している。
「駄目だ駄目だ」
 矢吹は言う。
「不良の掃き溜めの中でそれが出て来るんだよ」
「心って奴がか」
「そうだ」
 矢吹はそう左門に答える。
「御前等だって作品の中に不良出したりするだろ?やっぱりワルにこそ何かがあるんだ」
「それはどうかな」
 それに大河が反論する。
「僕はそうは思わないね」
「何っ!?」
「君の言っていることは仁侠映画じゃないか」
「それがどうした」
 矢吹自身もそれを認める。
「悪いっていうのかよ」
「悪くはないよ。けれどそれは正道じゃない」
「正道なんて糞喰らえだ」
 矢吹は最初からそれを捨てている。彼はそこには価値観を見出してはいなかった。
「アウトローの中にあるんだよ、全てが」
「添え物は主軸にはなれないのさ」
 大河はまた彼に言い返す。
「純愛こそが正道なんだよ」
「純愛!?いいじゃねえか」
 意外にも矢吹はそれを不敵な笑みと共に肯定してきた。
「純愛上等だ。望むところだ」
「否定しないのか」
 伊達はそれを見て声をあげ
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