手荒い歓迎会
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気絶した少女が目覚めたのはそれから数分のことだった。起きてすぐに俺達を見て怯えていたが、なんとか話せる状態まで打ち解けることに成功する。
……30分くらいはかかったけど。
「……もう、大丈夫か?」
「……はい、お手数をおかけしました」
土下座せんばかりに謝っている少女、名前をレアと名乗った。落ち着かせてから自己紹介したのだが……。
手を挙げるだけでビクビクしてたから精神的に疲れた。
「さてと……いろいろ聞かせてもらうが、構わないか?」
「その……えっと……ここは危険ですし、とりあえず私達の隠れ里に招待したいんですが……」
受けるべきか受けざるべきか。
メリットは落ち着いて話ができることと、多人数から話を聞くことができることの二点。
デメリットはその里民に攻撃される可能性があることとの一点。
デメリットはあくまで可能性だが、死亡した際の扱いがわからないため、かなり大きい。
白人と黒人の確執と同じように不当な扱いを受ける可能性もある。
「……」
黙り込んだ俺に何を思ったのか、全身で焦りを表現しながらレアは言葉を紡いだ。
「皆さん、いい人ですよ?助け合って生きてるから仲間意識が高いですし。だから私が助けられたって言えば、きっと!」
きっと……ねぇ。……全然信用できないんだが。
「きっと……その……」
訝しげな俺の視線を受けたレアは煙が空に消えるように、言葉を詰まらせた。
そんなレアの様子に一つため息をつく。
「まあ……一応は信用する。いざとなったらレアを人質にして逃げるからな?」
レアの実力は見たところそこまでたいしたことはない。ゴブリンを1on1で倒せるかどうかと言ったところだろう。
その里の中でレアの強さはどのくらいかは知らないが、弱い方だったらこうして外に出てこない。そして一人で行動しているということは、戦力よりも隠密性を重視しているということであり、やはり全体的に戦力としては低いのだろう。
……あくまでそういう可能性が高いだけであるが。
「は、はい! ありがとうございます……って人質!?」
「仲間意識が高いんだろ?」
「そうですけど……えぇぇ!?」
最近からかう相手がいなかったからな。……なかなかの逸材を見つけた。
「……リン、話を進めようよ……」
「……それもそうだな。じゃあレア。道案内を頼む」
ユウキに残念ながら止められてしまった。……本当に残念ながら。
「わ、わかりました。じゃあ、ついて来てくださいね」
少しビクビクしていたものの、こういう過酷な環境下で生きているからか切り替えが早い。
俺が軽く頷いてやると、音もなく走り出した。
ほとんど変わらない洞
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