天秤宮の憎悪
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デザイア》に加入した。そこで造形魔法を強化していき・・・私はお前への憎悪が、お前への感謝に変換した事を感知した」
氷の剣が壊れ、チャンスと言わんばかりにパラゴーネが一撃加える。
が、グレイは空いた右手でパラゴーネを殴り、一瞬の隙に新たに剣を造形した。
軽く吹き飛ばされたパラゴーネは口元に滲む血を手の甲で拭い、水泳でやるように壁を蹴って飛び出す。
「あの時私は当て所を喪失した・・・だが、それと偕行にウルという魔導士がどれほど弟子を愛していたかを感知した。そして・・・ウルの高妙さを改めて感知し、憧れは大きくなった」
向かってきたパラゴーネを避け、避けられたパラゴーネは重力の壁を造って空中で体勢を変えてもう1度飛び出す。
それは避けきれなかったグレイはパラゴーネの突進を喰らうが、吹き飛ばされながら手に持っていた剣を投げる。
パラゴーネは投げられた1本を重力操作で退け、もう1本を剣で破壊した。
「で・・・だったら何でリオンを憎んでやがる!今のテメェの話じゃ、オレを憎む理由はあってもアイツを憎む理由は何1つねえだろ!」
「現時点では、だ」
グレイの言う通り、今までのパラゴーネの話の中にリオンを憎む理由はない。グレイを憎む理由はあるが。
が、それをパラゴーネは短く否定する。
「私がウルに憧れているのを感知していたのだろう・・・シグリット様は、私の為に秘術を生み出してくれた」
「秘術?」
重力の銃弾を避け、グレイが呟く。
それが聞こえていたのか、パラゴーネはこくりと頷いた。
「その術は私の所望を叶え、お前の罪を浄化し、ウルを超えるというあの男の所望も叶うモノだった」
攻撃の手を休め、パラゴーネは言葉を紡ぐ。
空気が重く感じる。
訝しげな表情で、グレイはパラゴーネを見つめた。
「誰にも不幸は与えず、幸のみを与える光の術。禁忌でありながら代償は皆無の秘術」
禁忌。
確かにパラゴーネはそう言った。
その秘術が禁忌であるのは当然だと言わんばかりに、サラリと。
「その術の発動条件は集約していた。私は術を習得し、所望を叶えるべく・・・なのに・・・」
怒りに体が震える。
表情が怒りと憎しみに歪む。
見ているこっちが痛みを感じそうなほどに固く握りしめられた拳は震え、紅蓮の瞳が燃える炎のように煌めいた。
「ウルを殺したのはお前じゃない、グレイ・フルバスター・・・ウルを殺したのは、あの男だ」
淡い桃色の光が、天に昇っていく。
2人の髪が逆立ち、グレイの白いロングコートとパラゴーネのマントを踊るように揺らす。
パラゴーネの溢れ出そうな感情が、この空間に影響を及ぼしていた。
「あの男は・・・リオン・バスティアは・・・」
そして、パラゴーネは叫んだ。
グレイが思わ
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