天秤宮の憎悪
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ギリ、と小さい音が零れる。
小柄な体が怒りに震え、紅蓮の瞳がギッとグレイを睨みつけた。
その右手が、力強く重力に突っ込まれる。
「それを・・・あの男は不可能にした!」
「があっ!」
上から下に操られていた重力が、今度は前から後ろに操られる。
結果、グレイは見えない力によって思いっきり後方に吹き飛ばされた。
吹き飛ばされながら何とか体勢を整え、着地し、構える。
「アイスメイク・・・“弓矢”!」
「グラビティメイク “施条銃”」
放たれた氷の矢を、重力の銃弾が中央から真っ二つに割る。
続けてもう1発ずつ飛ぶが、魔法が魔法に直撃し、術者本人には届かない。
「ウルは私の憧れだった・・・故に私は造形魔法を習得し、少しでも彼女に近づきたかった」
氷の槍が飛び、それが途中で左に軌道を変える。
重力の剣が雨のように降り注ぐが、グレイはそれを後ろへ跳んで避け、氷の槍で打ち消していく。
「氷雪砲!」
「あぐっ!」
氷の砲撃がパラゴーネに直撃し、パラゴーネは小さく呻き声を上げる。
が、すぐに体勢を立て直し、その両手に1本ずつ重力の剣を握りしめ、地を蹴った。
小さい足音を立てながら、向かって行く。
「彼女が弟子を取ったと聞いた時・・・私も弟子になれる可能性が存在するんじゃないかと思った。ウルに造形魔法を習うのは私の所望となり、私はウルの住む場所へと向かった・・・弟子入りする為に」
「っ!」
ガキィン!と、氷の剣の重力の剣がぶつかり合う。
込められた重力に氷の剣が砕けるが、パラゴーネの次の一撃が来るのとグレイが新しく氷の剣を造るのとではグレイの方が早かった。
新しく造った剣で重力の剣を破壊し、もう一撃。それをパラゴーネは重力の盾で防ぎ、盾が消えると同時に剣を造り出す。
「だが・・・私がイスバンに到来した頃には、遅かった」
「っ危ね!」
重力の剣の一撃。
それを氷の剣で受け止める。
「私が到来した時には、もうウルは絶対氷結でデリオラを封印していて・・・私が憧れた魔導士は、氷と化していた」
ピキ、ピキッ・・・と。
氷の剣に徐々にヒビが入る。
それを睨みつけながら、グレイは魔力を込めてヒビを修復した。
「その時だけ、私は絶望した。もう私の所望は叶わないのだと知った時、私はデリオラを・・・そして、全ての原因であるお前を憎悪した!」
一旦距離を取り、駆け出す。
ぶつかり合い、壊れるたびに造形し、また直撃し造形し・・・を繰り返していく。
両者の剣は時に相手を切り、傷が生まれて血が滲む。
「だが、それは短い間だった。ブラーゴで全ての当て所を喪失した私はシグリット様に拾得され、|血塗れの欲望《ブラッティ
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